複雑・ファジー小説

Re: 白ずきんちゃんと。〜ワンダーランドの住人童話〜 ( No.13 )
日時: 2011/06/21 14:26
名前: 龍宮ココロ (ID: 6xS.mLQu)
参照: http://yaplog.jp/yukimura1827/

「今更だけど白ずきんちゃん、僕の兄を紹介します」
ニコッとグーレンは私に言ってきたため、私はコクンと頷いた。
「僕の兄は「Music box 双子屋」の『ヘンゼル』こと路座間ゼルトです。多少気が荒かったり、言葉遣いが悪かったりもしますけれどあまり気にしないでください」
「そうそう、俺は気が荒い…って、ちゃんと紹介になってねぇよ !!」
さっきまでウンウンと頷いて弟の紹介を聞いていたゼルトだけども、ちゃんと紹介されていないことに見事なツッコミ。
その兄を横にグーレンの反応は——。

「何言っているの兄さん、だって—— そうでしょ?」
「ぐっ…」

にこっと黒い線が見えるような笑みを見せる。
その事に反論が出来ない、いや—— 反論したらきれられると多分ゼルトは悟ったのだと私は思った。
「本当に…怖いわ…」と心の中で私は苦笑する。
それにしても、本当に似ている双子。
「あ、私は『白ずきんちゃん』って言われている…赤島ハク、です。あの…もしかして「双子屋」の「双子」って…」
「あ、うん。白ずきんちゃんのお察しの通り僕ら二人を指すんだ」
私の質問に反応してそうグーレンは言う。
その横でゼルトは「へぇ、白ずきんちゃん…。まぁ…双子っていうの考えたのは俺だけど…」とブツブツと呟いている。
その言葉を偶然聞いた私はゼルトに言った。
「へぇ…! そうなんだ、いいネーミングセンス。私、結構気に入ったよ?」
「—— !そ、そうか?」
照れくさくゼルトは笑った。
「多分、ゼルトって褒めて欲しかったんだろうな〜…」と私は思って少しクスッと笑った。
そのクスッと笑ったのにゼルトは「な、何だよ…!」と顔を赤くして言うけれど私は「…別に?」と言い返した。
その光景を見ていたグーレンはゼルトに向かってニコッと笑う。
「良かったね、兄さん。あまりここら辺の住人には言われない事を言われて」
「な !な、なんだよ !!本当は看板のネーミングセンスに俺は褒められているんだぞ!?」
「はいはい、まず良かったね」
「な…酷い相打ちするなよ…」と呟いてちょっと拗ねていた。
私はそんな姿が少し可愛いと思ったのはあくまで秘密だけども。
「あ、まだ相談の途中だった…」とグーレンはハッと思い出す。
ゼルトはその言葉を聞いて「途中だったのかよ…」と苦笑した。
…でも、ゼルトのせいだよね途中だったのは。
そう思っていた時、チリンと綺麗な音が鳴る。
「何の音…?」
「あ、やべ。カウンター当番、今日俺だったなぁ…」
「ハァ……」と言ってゼルトはため息を付ける。
「カウンターって…お客さん?」
「えぇ、そうですよ。今日は兄が相手しますけどね、カウンター係」
「へぇ〜…」と小さく言う。
双子だからそれぞれ曜日とかで決めているんだろうか。
でも、大変じゃないのかな…。
「じゃ、俺行って来るわ〜…」
そう言ってゼルトはこの部屋を出て行った。
シーン…と、部屋は静まる。
「えっと、白ずきんちゃんのオルゴール僕達双子で直して置きますね」
「あ、はい」
グーレンの言葉をすぐに返す。
その後、少しアップルティーを飲んでクッキーを一枚取り出す。
そのクッキーを見て彼は少し驚いて言った。
「あれ ?そのクッキーは、ここの地域で一番有名の“ハーブクッキー”じゃないか !!」
「え…?」
「そうなんですか?」と聞くと彼はコクンと頷く。
その彼は興味深くいたので、貰った経路について説明をすると彼は微笑んだ。
「なるほど、貴方はその店屋の「彼女」に気に入られたんですね。羨ましいなぁ」
ウンウンと頷いていた彼を見ていたその時—— お腹がグルル…と鳴った。
その音を聞いて彼は「…白ずきんちゃん?」と見てくるので我に返りバッとお腹を隠す。
思いっきり顔が赤くなるのが自分自身分った。
だって—— 他人の前でお腹を鳴らしたのは初めてで、しかも恥ずかしかったから。
そんな赤くなった私をよそに彼は苦笑する。
「お腹、減ったのですか?」
「……わ、私…は」
「大丈夫です」と言う前に、またお腹が鳴った。
説得力を失くす様にお腹が鳴る。
グーレンはチラッと時計を見た後、私に笑って言った。
「少し早いですが、お昼…食べませんか?」
「可哀想ですし」と付け足して。


            第9話「お昼」