複雑・ファジー小説
- Re: 白ずきんちゃんと。〜ワンダーランドの住人童話〜 ( No.18 )
- 日時: 2011/06/26 15:15
- 名前: 龍宮ココロ (ID: 6xS.mLQu)
- 参照: http://yaplog.jp/yukimura1827/
数分位優しく抱かれた後、涙も止まりポンポンと彼の肩を叩く。
彼は私の悲しい気持ちに浸っていたのかポンポンと肩を叩かれビクッとして「す、すいません…!! 今すぐ離れますから…!!」と言って焦って私から離れる。
私はその姿に少しクスッと笑った。
「アハハ、本当は私が悪いのに…」
「い、いえ…滅相な」
「自分は何をやっていたんだ !!」と言いたそうな顔で彼、グーレンは言った。
そんな姿を見るとゼルトと同じように可愛く見える。
「やっぱり双子なんだなぁ…」と心の奥で私は呟いた。
少し焦っていたグーレンは少し軽い深呼吸をして整える。
「…本当にすいません。行き成り…抱きついてしまって」
「ううん、いいの。—— ありがとう」
「—— っ!!」
私の笑顔を見て、グーレンの顔が少し赤くなっている。
「あれ…? 私、何かしたのかな?」と思いながら彼に少し首を傾げると、ハッと我に帰ったようにまた焦る。
「い、いいい…いえっ、僕は別にお礼されるほどでも…ないので」
「え、でも…。貴方、とっても優しいし…オルゴールを直してくれるから」
「そ、それは…白ずきんちゃんはお客さんなので直すだけですし !」
「そう…?」と私はまた首を傾げた。
お母さんからは「優しくされたらお礼を言いなさい」と言われたからしただけなのに、彼は凄く動揺している…。
何か間違った事したかな、私。
「あ、そういえば…」と私は思った。
少し悩んでいる私の顔を見てグーレンは「どうしましたか?」と言ってきたため私は口を開く。
「あ、あの…私、宿とか分らないから泊まる所に少し…迷っていて」
「そうなんですか、うーん…本当は泊まらせたいのですがこちらは無理ですし…」
「兄がいますからね」と付け足して苦笑する。
少しグーレンは悩んでいたけれども、何か思いついたような顔をする。
「あぁ、いい所ありますよ」
「本当…?」
「えぇ」と言ってにっこりと彼は笑う。
「すぐ近くなのですが、ピンクと白の合わさった宿があるんです。そこでは僕達もお世話になっているんです。そのピンクと白の合わさった宿のカウンターで【双子屋のお友達】と言えば泊めさせてもらえますよ」
「で、でも…お金は…?」
さっきからだがこの世界に来てからお金はどうなのか知らない。
そんな不安気味の私ににっこり笑う。
「お金は大丈夫です。今の所、白ずきんちゃんはお金を持っていないようなので僕が貸してあげます」
「え、い、いいのに !!」
フルフルと横に首を振る私。
とても有り難いけれど、貸してもらうほどはいけないから。
そんな私にそっと頭に彼の手が触る。
「大丈夫です、白ずきんちゃんが悩んだ時や苦しい時は声に出して話した方が良いんですからね?」
「はい」と私の手元にコインらしき硬貨が10枚渡された。
「これは…?」
「この10枚で白ずきんちゃんの世界で…確か2万円位の価値です」
「え、こ、こんなにっ !?」
私にとって凄く大金である。
アタフタしているとグーレンは「大丈夫ですよ」と優しく撫でられる。
「何か買う時は必要ですから僕が貸してあげます」
「…あ、ありがとう」
少し罪悪感があるけれども一度御礼をし、店を後にした。
第11話「宿探し」