複雑・ファジー小説
- Re: 白ずきんちゃんと。〜ワンダーランドの住人童話〜 ( No.6 )
- 日時: 2011/06/16 17:18
- 名前: 龍宮ココロ (ID: 6xS.mLQu)
- 参照: http://yaplog.jp/yukimura1827/
ワンダーランド、それは童話の住人達が暮らす世界。
ワンダーランドには悩みがいっぱいある。
ワンダーランド、それは現実から遠く離れた世界。
ワンダーランドの住人は余所者が大好き。
ワンダーランド、それは君を迎える為の世界。
ワンダーランドは——。
「白ずきんちゃんみたいな優しくて頑張り屋な人達が来る世界ってことだよ」
「え…?」
メトロはニコッと私に対して笑った。
今、私とメトロは『鏡』と言われた「鏡陸ソト」と別れて森の中を歩いている。
その別れ際のさいに『どうやって殺そう…』とか呟いたのを聞いたけれども、気にしないでいたほうが身のためだと本能が言っていた。
今いる森の中にはいる前、私は不思議に思っていた「ワンダーランドとは何か。私は何故選ばれたか」をメトロに質問した。
メトロは「歩きながら話してあげる」と言って歩いていくものだから私はメトロの後を追って—— 今に至る。
「つまり、ワンダーランドは君達の住む現代とは違う世界。でも、本当にワンダーランドは存在しているんだ。これは夢じゃない、本当の現実の世界。そのワンダーランド、今回はここに住んでいる住民達の悩みが大きいんだ。だからこそ—— 君を選んだんだ」
「だ、だけど…私は、白髪で可愛くなくて祟りの子って言われているんだよ?」
メトロは私の言葉を聞いた後、グッと顔を近づける。
私は一瞬ビックリして少し硬直する。
数秒私の顔をジッと見た後、メトロは口を開いた。
「…白ずきんちゃん、君は自分でそう言っているけれど俺達ワンダーランドの住民は多分こう言うだろうね——“白髪が綺麗で顔立ちも良い白ずきんちゃん”って」
「—— そ、そんなはずないよ!! だって…」
「だって? 何か根拠とかあるの? 俺は十分今の君はとても綺麗に見えるけど」
「っ——」
一瞬にして顔がやかんに入ったお湯みたいに顔が熱くなる。
初めて“綺麗”と言われた。
だけど、「これはお世辞だ」と心にストップをかけた。
「まだメトロを信用していないから…」という、考えている気持ちが強いから。
「…そんな訳無い。私は…いつもそう思っている……から」
「…白ずきんちゃん、本当に君の——」
と、メトロが話す言葉が止まる。
私は少しメトロを見た。
「…どうしたの?」
少しメトロの顔は真剣な感じだったが、すぐに私の視線に気付いてヘラッと笑った。
「いんや、なんでもない。それにしても、そろそろかなぁ〜」
「何が、そろそろ…?」
メトロは一旦歩くのを止めた為私も少し止まった。
「いやね、ちょっと急な用事を思い出したんだよ。こっから先は白ずきんちゃんが行ってね」
「へ!? ちょ、ちょっと!! どう言う事!? さっきみたくまた私、殺されるんじゃ——」
「大丈夫、大丈夫。こっから先はワンダーランドの中でも安全地帯の“お菓子町三丁目”だから」
「へ?」
「お菓子?」と疑問が上がる。
確かお菓子といえば、童話のあの話だったようなと色々考えているとメトロはもう何処かへと消え去っていた。
「な、何なの…? あのメトロって…」
少しイラッと来たけれども、このままでも行かないので私は進んで歩いていった。
———
「あー…言いそびれちゃったなぁ…」
少しため息を付ける。
あの時、確かに急用を思い出したがその思い出すタイミングが——あの言葉の前だとは自分自身ガッカリする。
「あの言葉の続きは彼女の心が変わってからでもいいか」とそう思いながらも少し後悔。
「さぁて…急用って言っても簡単だけど——行こうかな」
彼女は綺麗なままでいいんだ。
何もかも巻き込まれないように、俺が消してあげるから。
でも、悲しむのかな彼女は俺の事を知ってしまったら。
俺は彼女が大好きだからあんまりバレたくないけどね。
あぁ、あの時ちゃんと言えばよかったな。
「——君の照れている顔は誰にも見せたくないよ」って。
本当に可愛い、だけど俺は求めちゃいけない。
あぁ、恋って本当に切なくて甘くて柘榴の様に魅力して——。
こんなにも辛いのかと初めてそう思ったよ。
第5話「進行中」
