複雑・ファジー小説

Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.1 )
日時: 2011/06/25 16:28
名前: コーダ (ID: 5hG5Ocn3)

 え〜…ようやく編集作業が終わりました!!

 どうやら3000文字以上越すと投稿できないようですね…。なので少々切りのいい場所で分割投稿をしていきます。

 それではどうぞ〜。






もう今となっては過去になるが俺は昔復讐しか頭になかった男だった。
 これから話すことはウソ、偽りは全くない…復讐のきっかけ、復讐符の終止符、これからについて…隠さずにこの本に執筆することにする。

          〜壱目 出会いと別れ〜


「東牙(とうが)殿!今日はお祭りですぞ!」
「騒がしい爺さんだな……どうせ規模の小さい夏祭りだろ?」

 屋根が全て瓦で覆い尽くされ、玄関の正面には立派な門構え、外から見ると縁側とたくさんの襖が見える建物の中で2人の会話が聞こえた。
 1人は160cmの身長で髪は首まで長く瞳は青みがかった黒で膝まである長いマントをつけている少年。
 もう1人はこの建物の執事的存在の老爺。会話の流れからいくと“東牙”と言う者が一応偉く見えた。

「なにをおっしゃるのですか!市民が設けた祭りに鞘嘉多家の者が1人も出ないなんて……前代未聞ですぞ!」
「なら爺さんがいけばいいじゃないか……俺は騒がしいところが苦手なんだよ……。」

 必死に説得する老爺だが、東牙は「騒がしい。」という理由で行きたがらなかった。

「むう……ここで爺が無理矢理連れて行けば解決するのですが……鞘嘉多家の決まりを破ってしまう……。」
「こういう所で鞘嘉多の決まりは良い物だな。」

 東牙はいつも腰に付けている刀を抜き老爺に向けた。
 鞘嘉多家は代々「他人に振り回されず自立して生きる。」という決まりがあった。
 もし振り回すような者がいれば刀で斬っても罪には問われない。
 しかし、自分から振り回したら逆に自分が死刑になるというけっこう厳しい決まりがあった。
 だが振り回すといってもちゃんと限度というものはある。
 このように言葉だけで振り回そうならまだ良いけど、これが行動となると一瞬にして罪となるのだ。
 これを簡単に言ってしまえば“過度な束縛はさせるな、するな。”で収まる。
 実際に鞘嘉多家の住民は常に1人で物事を考えている。

「ですが東牙殿……鞘嘉多家の6代目になるのはもうすぐの話ですぞ……そろそろ考えた方がよろしいのでは?と思います……それでは……爺は失礼するぞ……。」

 老爺は会釈して部屋から立ち去った。
 東牙は刀を鞘に戻し読みかけている本を読んだ。

「(6代目か……あまり意識したことないけど、やはり鞘嘉多の未来が掛かっているよな……そろそろ俺も気持ち切り替えていかないとだめか……。)」

 意外に老爺の言葉が心に来たのか、東牙は焦りを見せた。
 そして読んでいた本を、突然パタリと閉じそこら辺に投げ捨てた。

「行ってみるか……祭りに。」

 自分がやらなければいけないことはまだまだある。
 それを1つ1つ確実になくすのが大事だろう、という気持ちに身を任せ、東牙は黙って祭りが開かれている町に向かった。