複雑・ファジー小説
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.10 )
- 日時: 2011/07/04 07:58
- 名前: コーダ (ID: kY71cFa4)
「ちょ、ちょっと離しなさいよ!痛い痛いって!」
「わたくし的には力を弱めている方ですわ……それに乱暴な人はお嫌いなので暴れないでくださる?」
「佳恵殿。油断してはいけませんぞ?一応木葉家の娘。魔法の力はとてもお強いですぞ。」
時は少し戻るが、実は東牙が木葉家に向かうために、ここから出たときから、蓮花は捕らわれていたのだ。
やけに暴れる少女なので、しばらく物置に入れていたので、東牙は気づかないのも無理はない。
そして、東牙が出た後、老爺は佳恵を連れて物置に居る、暴れて反抗してくる蓮花を引きずり出し、庭にたどり着いた。
すると佳恵は思わず「すごいですわね。」と一言呟いた。
そう広庭には、鞘嘉多の関係者全員が右と左に別れ、真ん中を開ける形で並んでいたからだ。
「な〜に……これくらい普通ですぞ佳恵殿?」
「……(まさか……これは……。)。」
「ちょっとそこの爺さん!!私をどうするつもりなのよ!?」
「おやおや……お嬢ちゃんは自分がどんな状況に居るのか、分かっていないようですな……我々、鞘嘉多家後継者。鞘嘉多 東牙殿を引き連れたという罪で、公開処刑ならぬ公開死刑になろうと。」
そう、この老爺はまず、木葉家の娘から処置するということを選んだ。
蓮花は、まさか自分がこんな人達と関わっていたなんてと、思わずただただ、呆然としていた。
「ふむ……やはりショックは大きいですの……自分の知り合いがこういう場所で育っていたなんてと思うと……しかもこれから罪を償うのですから。」
「ごめんなさいね……鞘嘉多家は他人に縛られず、1人で生きていくという決まりがあるのですわ……あなたは、東牙を振り回したということで罪に問われているのですよ……。」
佳恵は、蓮花にどうして罪を償うのかを、親切に説明した。
しかし、それについての返答が、本当に意外だったのは、誰も想像しなかったと言う。
「はぁ!?何その決まり、馬鹿みたい!?そんな決まりで生きていくあんたらの心がすごいわね!私なら即パスするわね!だって、人間は決して1人では生きていけないからよ!」
「なんと……この期に及んでそんな言葉を言えるとは……よかろう……佳恵殿……。」
蓮花は、鞘嘉多の決まりを、とても馬鹿にして反対した。
さすがに、老爺も、これには、怒りを覚えたらしい。そして、佳恵に目で、この少女を斬れと言う。
佳恵は「……本当によろしいのでしょうか?」と一応確認したが、老爺の気持ちは変わらなかった。
そして、佳恵は、刀を抜き、蓮花に最後の言葉を言った。
「本当にごめんなさい……わたくしだってこんなことしたくないですわ……ですが、職業柄命令には逆らえないのです……。」
佳恵はそう言って、刀を構えた。
すると、蓮花はその言葉に何か引っかかったらしく、また。
「何それ?職業柄命令に逆らえない?それおかしくない?自分がしたくないことはしたくないってはっきり言ったらどうなの!?この巨乳女!」
佳恵は、この言葉を聞いて、ピクリとも動かなくなった。
どうやら、”巨乳女”という言葉が、けっこう心にきたのだろう。すると、どこからともかく笑い声が聞こえてきた。
もちろん、鞘嘉多の関係者は「なんだなんだ?」と騒ぎ始めたが、その中に居た1人が「居たぞ!屋根の上だ!」と言うと、一斉に屋根を見始めた。
そして関係者が「東牙殿!」と叫んだ。
そう、笑い声は屋根の上にいた東牙だったのだ。