複雑・ファジー小説

Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.12 )
日時: 2011/06/25 20:15
名前: コーダ (ID: 5hG5Ocn3)

       〜弐目 再開、そして別れ〜


「何?それは本当か?」
「は、はい……お願いします……佐奈観さんを……助けてください……。」
「酷い傷……早くなんとかしないと……。」

 木葉家エントランスで、会話をしていたのは、東牙と蓮花。
そして、体中が血まみれの男。どうやら、この男は鞘嘉多の反対関係者らしい。

 5年間、何も起こらずに、ただ平凡と生活していたのが、腑に落ちなかった東牙は「早くなんとかしなければ…。」と毎日呟いていたが、今日でそれはなくなるだろうと誰もが予想できた。
 どうやら、男は、この5年間の間ずっと、佐奈観という人と行動していたのだろう。
そして、風の噂で、東牙の所在地を知り、急いで向かったところ、鞘嘉多の関係者に不意を突かれたが、なんとか、今の状況を伝えないと、という気持ちだけで動きやっとの思いで、木葉家に到着したみたいだ。

「佐奈観さんは……ここから北の都会街……うっ……ゲホッ、ゴホッ……。」
「いけない!ちょっとこの人治癒しないと!」

 男は、佐奈観という人が居る場所を言ったが、途中で吐血をしてむせてしまった。
 蓮花は急いで、木葉家関係者を呼んで、緊急治癒室に運んだ。

「(一体どうなっているんだ……北の都会街と言っていたが……ちっ……早いとこ解決しないとな……。)」

 気がつくと、東牙1人でエントランスに居た。
 その顔たちは、焦りという文字を表現していた。


           ○


「というわけだ……俺は今すぐにでも動く。」
「待ちなさい東牙!それはちょっと無計画すぎるわよ!」

 木葉家一室で、東牙は今から、北の都会街に行くと蓮花に告げたが、蓮花は机をばんっと叩き反対した。
 理由は、いくつかあったが、その中でも1番の候補に挙がったのが、ここから北の都会街までは少なくとも、100km以上あったのだ。

「それは十分把握している。しかし、ここで黙っているわけにもいかないだろ?俺は1日でも早く、鞘嘉多の反対関係者を集めたいんだ。」
「あんたの気持はわかる……でも、事が大きすぎるわ!」

 しばらく、この会話が続いたが、2人の間では解決にはいたらなったという。


           ○


「(……さて、行くとするか……。)」

 現在深夜1時。大抵の人が眠りにつく時間に、木葉家外では、不審な男が歩いていた。
 そう、その男は、昼に行くことを反対された東牙だった。
 どうやら、コッソリ北の都会地まで行こうと考えていたという。

「(世話になった木葉家の人たちには悪いが、俺はやらなければいけないことがある……それが終わったら、何時間でも小言を食らうつもりだ……。)」

 そして、東牙は遥か北の都会地まで、歩いて行った。