複雑・ファジー小説
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.17 )
- 日時: 2011/06/26 00:25
- 名前: コーダ (ID: 5hG5Ocn3)
「佐々凪殿……どうやら、侵入者は刀を持ち、黒いマントをつけていて、メガネをかけた男だそうです。」
賛成関係者は、実際に侵入者を見た人から、情報を集め、なんとか特徴を九寺に伝えた。
「……漆黒の侵入者……なるほど、面白くなってきたな……。」
九寺は、こんな状況になったのに、むしろ楽しさを覚え、侵入者の肩書まですっと言った。
「ですが、侵入者の目的は未だ不明……いつ襲ってきてもおかしくありません。」
「ふむ……まぁ、いざとなったら、この九寺が一閃して差し上げよう……最近ずっと指揮ばかりで、偶には動きたくなるからな……。」
そう言って九寺は2本の刀を出し、その場で思いっきり振る。
すると、その場にいた賛成関係者は、思わず身をよろけてしまった。
どうやら振った際に、強い気を発したのだろう。
○
「東牙?本当にこの作戦は、大丈夫なのでしょうか?」
「分からん……ただ、本に書いてあったことを試しただけだからな……。」
東牙と佳恵は、誰にも見つからない場所を、コソコソ歩きながら、どこかに向かっていた。
他の反対関係者は、東牙が言われた場所にスタンバイしているのだろう。
「……でもなぜでしょうか?東牙が言うと、根拠も何もないのに賛成できる……やはり、私は指揮には向いていなかったのでしょうか……。」
佳恵は、今まで指揮していた事を思い出し、やはり本当に向いてない、と判断して悲しく呟いた。
おそらく、この言葉には、色々な意味が含まれているだろう。
「私の指揮が良ければ、もっと関係者を死なせずに済んだのに……。」
「私は、指揮をしないほうが、良かったのかもしれない……。」などの思いが数えきれないくらい。
東牙はこの言葉を聴いて、すぐに「佳恵さんの苦しい思いがたくさんある一言だな……。」と心の中で呟いた。
そして「別に、フォローのつもりじゃないが、佳恵さんがいなければ、きっと、関係者全員全滅していただろうな……だから、そんな事を言わないでくれ、せめて後悔するなら、この勝負に終止符を打ったときにしてくれないか?」と、厳しくも優しい言葉をかけた。
もちろん、こんな発言をしたのも佳恵を思ってこそである。
用心棒は、情けをあまり受けたがらない、だから一部厳しい反応を取った。
ただそれだけの理由らしい。
そして、2人はしばらく、黙って歩いていたという。
○
「佐々凪殿—!大変です!異常事態です!」
「どうした?落ち着いて、話を聞かせてもらう。」
「あっちの関係者が全員……終息不明になりました!」
「な、なんだと!?」
賛成関係者の一言に、思わず驚いてしまった九寺。
あまりの衝撃に、その冷静さを忘れていた。
「只今、全関係者を探しているのですが、誰1人も見つかりません!」
「くっ……どういうことだ?こんな作戦、いままで見たことないぞ……まさか、佐奈観 佳恵が本気を出したのか!?」
九寺は混乱しつつも、状況を整理したが、思うようにはいかず、その場で頭を抱えてしまった。
「ど、どうしますか!?」
「……とりあえず、当たり隈なく探すんだ……絶対どこかに居るはずだ……。」
しかし、この判断が後に、大変なことが起ころうと、九寺はしらなかったのだ。
○
「……(やりましたよ!賛成関係者が、バラバラになりましたよ!)。」
「(静かにしやがれぇ、見つかっちまうだろ?後は、あの2人が上手くやればいいんだがなぁ……。)」
反対関係者は、廃墟の陰に隠れて、賛成関係者を見ていた。
そう、東牙の作戦は、全員がバラバラの場所に隠れて、相手を撹乱することだったのだ。
これは、多人数だと極めてやりにくく、すぐに見つかるが、少人数になれば、なるほど見つかりにくく、時間を稼げるのだ。
「(大丈夫ですよ……佳恵さんが負けるわけないじゃないですか!)」
「(お前は東牙を知らなすぎだぜぇ……あいつはなぁ……あの佳恵があこがれる男なんだよぉ……。)」
こうやって、雑談しながらも、実は真剣にしている反対関係者2人だった。