複雑・ファジー小説

Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.25 )
日時: 2011/06/26 10:28
名前: コーダ (ID: 46ePLi3X)

「でぇ?北の都会地の奴らを、苦労してここに送ったんだから……それ相応の報酬があるだろぉ?」
「ん?君は私の言ったことを、聴いていなかったのかね?報酬は、反対関係者の処罰が、決まるまでと。」

 城下町の中心に建つ城。
 敷地は、直径400mくらいで、100mずつ城を囲い込み、高さ20mの大きな門を、3回通って、やっと入られる城の、1番上で、2人の男性が話していた。

 1人は、北の都会地に居た、黒い服装をした男で、もう1人は、地面までつく長いマントをしていて、少々長い金髪で、目は青く、腰には剣みたいなもがあった。
 そして、見るからに育ちが良く、気品の高い男だった。

「あぁん?そんなこと言ったかぁ!?」
「言いましたよ……。」

 どうやら、報酬についてもめていたが、明らかに黒い男が不利。
 なので、一旦諦め「今度はちゃんと言えよぉ夜尭(やたか)!」と、言った。

「あなたのいうちゃんとは、どれくらいか、私には理解できませんね……ん?どうぞ入ってください。」

 夜尭という男は、黒い男の叫び声の中、扉をノックする音が聞こえたので、丁重に許可を出した。
 すると、そこからは、上のボタンが全て取れている、スーツ姿の、ガラが悪そうな男が現れた。

「失礼する……確か、今回の仕事を依頼してきた高仲 夜尭(やかなか やたか)という者は君か?」

 入っていきなり、仕事の件について、話を持ってきた男。
 すると、黒い男は「なんだぁてめぇ。」と、言って、がんを飛ばしてきた。

「おっと、俺の名前は鉈崎 諺瑚……刑事だ。」
「何ぃ!?あの鉈崎だってぇ!?」

 黒い男は、鉈崎と聞くと、すぐに驚いてあたふたし始めた。
 どうやら、諺瑚という名は、それほど世の中に、浸透しているに違いない。

「静かにしてくれないか橋鍍(きょうと)……大事な話だから。」

 夜尭は、とりあえず話が進まないため、橋鍍と名乗る男を、鎮めさせた。
 そして、すぐさま仕事の内容を、諺瑚に言った。

「刑事さんに、やってもらいたいのは簡単ですよ……しばらく、この城を、24時間体制で、見張ってほしいのです。もちろん、こちらからも人員は出しますよ?」

 夜尭の依頼に、思わず「そんな簡単なもんで良いのか?」と、言った諺瑚。
 どうやら、この仕事は、彼的に、あくびが出るくらいのものらしい。 

「いえ、刑事さんは分かっていません……北の都会地で、騒ぎを起こした者に、捕まっていない男が居ると……。」
「あぁ、しかもその男はよぉ……俺達、四天王の1人、九寺をいとも簡単に殺したんだぁ……。」
「なるほど、かなり腕が良いと……だけどな、俺はどんな奴が来ようと、絶対、逮捕する刑事だ。」

 諺瑚は、懐から銃を取り出し、夜尭に突きつけながら、このセリフを言う。
 そして、すぐに懐にしまい「失礼。」と、言ってこの場から去って行った。

「あんなガラの悪い奴が刑事ねぇ……しかも、あいつ、よく見たら銃2丁あったぜぇ……。」

 橋鍍は、やや恐ろしく諺瑚の事を言い「それじゃ、俺も失礼するぜぇ。」と、言ってこの場から去って行った。

「……刑事さんも、橋鍍も、油断禁物ですよ……。」


                ○


「なるほど、あなたは元々そういう人か……。」
「ああ、獣人として生まれた私は、自分が、平和に暮らせる場所を探して、ここに来た。」

 かなり、真剣な空気が漂う、宿屋のある一室。
 東牙は、女性に関して、色々と情報をもらっていた。

「まぁ、ここら辺の人は、あなたみたいな人が来ても、別に何とも思わんから……すごしやすいといえば、すごしやすいか……。」

 東牙は、少し考えながらこのセリフを言った。
 そして、部屋の窓を閉め「ちょっと外で、情報をもらってくるか?」と、女性に言う。

 一体、何の情報か分からないが、このまま1人で居ても、つまらないからという理由で、東牙についていくことにした。

「と、所でお前……。」
「ん?なんだ?」

 東牙が、外に出る準備をしている時に、女性は少し気になることが、あったみたいだ。

「そ、そのなんだ……あなたとか、お前って呼ぶのはもうやめにしないか?」
「……そういうことか。確かに、あなたの言う通りだ。」

 そう、まだお互いの名前を、確認していなかったのだ。
 このセリフを聴いた途端、女性は尻尾を振りながら。

「私は、犬頌 楓(けんしょう かえで)だ。お前の名は?」
「俺は、科門 東牙だ。しばらく、よろしく頼む楓。」

 いきなり東牙は、“楓”と、呼び捨てで読んだので、楓は思わずドキッとして「わ、わかった……東……牙……。」と、返した。

 しかし、楓はこの名前を聴いて、ふと思い出したのだ。
 今、自分が斬るべき人の名前も、“とうが”という事に。
 だが、楓は、こんな優しい人が、仲間を裏切るわけがないという理由で、何も疑いを持たなかったという。
 一方、東牙も、楓が四天王だとは知らないらしく、何も思いもしなかった。


                ○


「あ〜あ……結局こんな所に捕まったわね……。」

 薄暗く、黒い棒状の物が、正面に何本も並び、周りは、石でできた牢屋の中、蓮花は、明るく一言呟いた。
 そう、北の都会地に居た反対関係者は、全員この牢屋に捕まっていたのだ。

「せっかく、表向きは綺麗な城なのに、なんで地下は牢獄なのかしら?」

 先から、蓮花ばかりが、独り言のように喋っていた。
 他の反対関係者は、絶望に満ち溢れているのか、何も突っ込みもしなかったという。

「(あの時に会った魔法使いの男性……何か、人間には持たない雰囲気がありましたわね……。)」

 一方、佳恵は、あの時に会った黒い男が、気になってしょうがなかった。
 別に、一目ぼれしたとかという、意味ではなく、少し、人間とはかけ離れた雰囲気が、気になったみたいだ。

「はぁ……どっか強い王子様が、私たちを助けてくれないかしら……。」
「(ここは私が少しあの男性を調べないと……でも、破廉恥な事をされるのはごめんですわ……。)」

 ちなみに、この牢屋には、魔力不無装置(まりょくふむそうち)と言うものが、働いており、蓮花はいっさい、魔法を唱えられなかったのだ。
 佳恵も、牢屋に入る時に、刀を持っていかれ、自慢の斬鉄剣が、できない状況であった。






キャラ紹介…


名前:鉈崎 諺瑚(なたざき げんご)

性別:男 

種族:人間

年齢:28歳 

血液型:A型

身長・体重:175cm・65kg

得意な戦術:銃


名前:犬頌  楓(けんしょう かえで)

性別:女 

種族:獣人(モデルは狼) 

年齢:23歳 

血液型:O型

身長・体重:162cm・56kg

得意な戦術:刀(正確にいえば太刀)