複雑・ファジー小説

Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.28 )
日時: 2011/06/26 19:45
名前: コーダ (ID: 46ePLi3X)

「ったく……寒いなおい……。」

 城の外で、カップ麺を食べながら、愚痴をこぼしていた、刑事が居たという。
 そう、夜尭に頼まれた仕事を、早速行っていた、諺瑚だった。

「もう少し、マシな場所はなかったのか……っと、こちら鉈崎、どうした?」

 こんなんでも、彼は難事件を解決しているんだから笑える。

 鉈崎は、突然、仲間から連絡が来たらしく、通信機を取り出し、内容を聞いた。

「何?……そうか……分かった……。」

 鉈崎は、どこか腑に落ちない感じで、通信機を切った。
 そして、今度は、自分から、仲間全員に通信機を繋げて。

「こちら鉈崎。急遽、後退命令が出た。総員城に戻れ。」

 ブチッと、通信機を切っては「どうも納得いかん。」と、呟き、自分も城に向かった。
 すると、3歩くらい、歩いたところで「何が納得いかないんだぁ?鉈崎ぃ。」という声が聞こえた。

「なんだ?あの時の黒い男か……俺に何の用だ?」

 振り向きもしないで、会話をする鉈崎。
 すると、後ろにいる黒い男は「俺には、柿崎 橋鍍(かきざき きょうと)という名前が、あるんだけどなぁ…。」と、呟き、刑事のそばに寄ってきた。

「用件を早く言え橋鍍……俺は、そんなに待つ男ではないぞ?」
「短気な刑事だなぁ……まぁ、良いや……俺からは一言だぁ……。」

 橋鍍は、一言だと言って、突然、声を太くして「あの時と、内容が、かぶるかもしれねぇが……東牙にあったらよぉ……潔く逃げた方がいいぜぇ……。」と、鉈崎に、警告の意味として告げた。

 しかし「そんな事で、怯える俺じゃない……だが、警告には感謝する。」と、言って、城に入って行った。

「……そういえばぁ、楓は上手くやっているのかぁ?」

 橋鍍は、自分の仲間を気にしながら、城に入って、明日に備えた。


                ○


「結局、城へ偵察はしないのか?」
「ああ、酒場にいた男に感謝しないと……。」

 東牙は、快晴の夜空を見ながら、城の偵察をしないと言い切った。
 楓は「そ、そうか……で、これからどうする?」と、また質問する。

「……もう、言わなくても分かるだろ?明日の夜に、城へ行く……!」

 東牙は、楓の顔を見ながら、強く、このセリフを言った。
 もちろん「了解。」と、楓は即答して、了承する。

「さて。ちょっと早いが、もう寝るか……。」

 いつもなら、深夜に寝る男なのに、明日へ備えてなのか、珍しく、11時で就寝すると、宣言した。
 すると楓は「そういえば、元々ここは、東牙1人で寝る予定だったから、ベッドが1つだけしかないな…。」と、呟いた。
 しかし東牙は「別に、俺は床で我慢する。楓はゆっくりベッドで寝てくれ。」と、きっぱり言った。

 だが、この返答が、まさかの地雷であり楓は「それはだめだ!それなら、まだ尻尾がある私が、床で寝る!」と、否定した。
 しかし東牙も「それはだめだ。床に女性を寝かせるだなんて事はできん。」と、お互い一歩も、譲らなかった。

 すると、楓は何を思ったのか「では、私と東牙が2人で寝れば良い!」と、爆弾発言をした。
 こんなに美人で、しかも、尻尾まである女性と一緒に寝れるなんて、全国の男性なら「是非お願いします。」と、絶対に言う。
 なのに、この男は「それは1番だめだ!」と、強く否定をした。
 しかし、今回だけは、絶対に引き下がらないと、心の中で誓っていた楓は、無理やり、東牙の腕を引っ張り、強引にベッドへ連れ込んだ。
 だが、思いのほか狭く、2人は密着していないと、寝れない状況だったという。
 なのに、楓はそんなことお構いもせず、東牙と密着しながら、眠りに入る。

 当の東牙は「どうすればいいんだ……。」という紳士的な、男性の気持ちが心の中にあったが、実は、本当に少量ながら「これはこれで良いか?」という素直な、男性の気持ちもあったという。