複雑・ファジー小説
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.32 )
- 日時: 2011/07/02 19:54
- 名前: コーダ (ID: H0XozSVW)
「う〜ん……おはよう東……牙?」
雲1つなく、とても眩しい朝の日差しを受け、楓は起床した。
しかしそこには、東牙の姿はなく、少々戸惑いながら、辺りをキョロキョロする。
ふと、机の上に何か置かれているのを発見しては「なんだこれは?」と、言ってそこまで歩いた。
机の上には、お金と1枚のA4サイズの紙があり、そこにはびっしり文字が書かれていたという。
楓は、それを手に取り黙って呼んだ。
おはよう楓。目覚めは良かったか?この手紙を置いた理由はいくつかあるが、まぁ読んでほしい……。
まず最初に、俺は楓に謝らなければならないことがある。実は昨日、俺は楓が寝ているときに、そこの刀を持ち、あなたを殺そうとしてしまった……刀はきちんと、楓の右胸を突き刺すかのように置いた。だけど、俺はせっかくのチャンスを無駄にして、それができなかった。
理由は簡単だ。俺は楓との出会い、会話、食事、就寝、起床などの出来事を思い出し、それがストッパーとなり刀を突き刺せなかった。
そして俺は自分の行ったこと行動に、酷く後悔した……四天王でも、こうして俺の味方をしてくれるのに、どうして殺そうと思ったのだろうか?と……こんなこと許してもらえるわけないと思うが、素直に言う……すまない。
楓が四天王と言う事は、まだ俺自身、きちんと自覚している。だけどあなたを、もう敵と見ないと約束する……口頭ではないので、説得力はないが、またしばらくしたら、口頭ではっきり言う。
そして俺は、今日1日、心の整理をするため楓とは会わない……そして楓は、俺を見つけるとかいう行動は絶対にしないでくれ……勝手なわがままだと分かっているが頼む……。
最後になるが、こんな俺にまだついていくと思うなら、そのまま部屋に居てくれ。もしついていけないと思ったら、その場から去ってくれ……俺は明日の朝になったら、必ずここに戻ってくるから、それまでに決断をしてほしい。
隣に置いてあるお金は、自由に使っても構わない。食費に当てるなり、趣味に当てるなり、楓の好きにしてくれ。
「……うっ……。」
楓はこの手紙を読み終わると、なぜか目から大量の涙を流していた。
自分は、東牙にとって殺されるべき存在なのに、生かしてくれたその優しさが、彼女の心に深く刺さったからだ。
そして楓は、涙でクシャクシャになった手紙を、四つ折りにして、そのまま懐にしまい「私……一生……東牙についていく……。」と、涙交じりの声で固く誓ったという。