複雑・ファジー小説

Re: 復讐 5年の歳月を経て…   タイトル変更しました。 ( No.39 )
日時: 2011/07/28 13:11
名前: コーダ (ID: n/BgqmGu)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode

「……どこか騒がしいですわね……。」
「またなんか、騒ぎでも起こっているんじゃない?」

 牢屋で蓮花と佳恵が、城の騒ぎに薄々気づいていたという。
 そして2人は、心の中で「もしかして東牙?」と、思ったのは言うまでもない。

「おい!黒くてメガネをかけて、首には鈴をつけた侵入者が地下に入ってきたぞ!」
「何ぃ!?それはやばいだろ!俺まだ死にたくない!」
「い、今なら命令無視良いよな?」
「……逃げろ—!」

 牢屋の前に居た男は、地下に侵入者が来たという事を聴き、慌てて逃げ出した。
 蓮花は「こら—!なんなら鍵を置いてけ—!」と、鎖越しから叫んだという。

「うふふ……やっとここから、出られそうな気がしてきましたわ……。」
「ええ、あの男たちが言っていた特徴からすると、間違いなく東牙ね……。」

 蓮花と佳恵は、東牙がここまで来る事を祈っていたという。


                ○


「お前ら、せめて鍵を渡してから逃げろよな……。」

 地下に入っては、警備の人たちから「うわ—侵入者だ。総員退避—!」と言われ、少し焦っていたという。
 なぜなら、鍵を持っている警備員を逃がしたら、これはこれで面倒だから。

「仕方ない。少々手荒だが……。」

 チリン、首の鈴が鳴り響いた瞬間、東牙は逃げ惑う警備員を1人ずつ恐喝する。
 そしてこれを繰り返し、なんとか5つくらい、鍵を手に入れることができたという。

「……はたしてこの中に当たりがあればいいのだが。」

 左手で5つの鍵を懐に入れ、次は蓮花と佳恵捕まっている牢屋を探す東牙。
 すると途中で、捕まった人の武器が溜まっている部屋を見つけ「もしかしたら2人のも……。」と、呟き入っていた。
 すると、最近捕まったからなのか、1番手前で蓮花の杖と佳恵の刀を見つけた。
 そしてそれを左手で持ち、この場所から出ようとした瞬間。
 ————————————————チリン、チリリン。
 鈴が酷く鳴り響いた。
 東牙はどことなく異様な感じを覚え、この辺りをキョロキョロ見まわす。
 すると、床に1本の刀が落ちている事に気が付き、なぜか無意識に手がその刀に伸びていたという。
 蓮花の杖と佳恵の刀を、一時床に置き、無意識に手に入れてしまった刀を、じっと見てそのまま鞘から抜いた。
 すると、捕まっている人達が使っていたとは思えないくらい、綺麗な刀が出てきて思わず「す、すごいなこれは……。」と、呟いてしまった東牙。
 そしてそれを、鞘に戻して今度は無意識に腰へ掛けたという。

「……早く蓮花と佳恵さんを見つけないと……。」

 謎の気分に漬かっていた東牙は、思わず本来の目的を忘れそうになったという。
 そして、また急いで2人を探しに行った。


                ○


「ふぅ〜……やっと腹が落ち着いたぜぇ……。」

 城の廊下をのんびり歩いていた橋鍍。
 どうやらやっと、昼に食べた物が落ち着いたらしい。

「さぁてぇ……ちょいと遅刻した分暴れてやるかぁ……くっくっく……。」

 橋鍍は魔道書を持って、ある場所に向かった。


                ○


「東牙!やっと来たわね……これが落ち着いたら色々と話させてもらうわよ!(あれ……右手どうしたのかしら……。)」
「……(やはりちょっと、顔を会わせずらいですわね……。)」
「待たせてすまない……今から救出する……。」

 東牙はようやく、2人が捕まっている牢屋を見つけては、懐に入っていた鍵を全て、使って施錠を試みた。
 だが5つとも当たりはなく「全部スカか……。」と、小声で呟いたという。

「ちょっとどういう事よ……。」
「うるさいぞ蓮花……そうだ佳恵さん……自慢のあれ……よろしく……。」

 蓮花に文句を言われながら、東牙は牢屋に佳恵の刀をすっと入れて“あれ”という物を頼んだ。
 すると中に居た佳恵は「うふふ……ようやく出られますのね……東牙はちょっと離れてください……。」と呟き、そのまま腰を低くして目を閉じた。
 —————————————————10秒。
 —————————————————20秒。
 佳恵はずっと、目を閉じて精神統一していた。
 —————————————————ガキン。
 この音が聴こえた時には、もう鎖は見事に斬られていたという。

「お見事巨乳女!」
「……その呼び方やめてくれません?」
「よし……これで精鋭メンバーは揃った……。」

 ようやく2人に出会えて、東牙は心なしか士気が上がっていたという。
 そして「とりあえず、俺につい来てくれないか?楓が心配だ……。」と、蓮花と佳恵に言って来た道を急いで戻った。
 なお、2人が心の中で「楓って誰?」と、呟いたのは言うまでもない。