複雑・ファジー小説
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… タイトル変更しました。 ( No.42 )
- 日時: 2011/07/28 13:39
- 名前: コーダ (ID: n/BgqmGu)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
「グリモワールオブエレメント・サラマンドアンドデクアルプ、第71章「ホワイトフレイム」……東牙はとりあえず大丈夫だけど……この子はちょっと難しいわね……。」
蓮花は炎の治癒魔法で、東牙と楓の傷の応急処置をした。
しかし楓の方は、それだけでは足りず、今すぐにでも病院に行かなければならなかったという。
「それなら……一旦ここを出ましょう。せっかくの仲間なんですしね……。」
佳恵は楓に肩を貸して2人に言った。
もちろん佳恵の意見には、即賛成をして警戒しながら城を後にした。
○
「……すげぇなおい……あの楓をいとも簡単に、正気に戻したぜぇ……。」
「お前は一体何をしたんだ……?」
諺瑚と橋鍍は、ギャラリーで3人の行動を全て見ていた。
そして諺瑚は、先程楓に唱えた魔法について質問する。
「何……ありゃただのトラウマ再生魔法さ……楓の過去は俺も知っていてなぁ……くっくっく……獣人っつのは、精神的攻撃に弱い……捨てられた記憶を呼び覚ませば途端にああなる……。」
なんとも酷い魔法に、刑事はその場で黙る。
「くっくっく……しばらく楓は使えないぜぇ……。」
「所で良いのか橋鍍……このまま奴らを逃がして……。」
刑事の質問に「あぁ?くっくっく……別に良いぜぇ……。」と、返答してこの場を後にする橋鍍。
諺瑚は腑に落ちない感じでこの場を後にする。
○
「う〜ん……あれ……ここは……。」
楓はいつもの宿屋の風景を見て、とても頭がパニックになっていたという。
すると「あら?起きたのですか?」と、横から女性の声が聴こえて来た。
「……あ、あなたは……誰?」
「うふふ、わたくしは佐奈観 佳恵と言います。そうですわね……東牙の仲間と言った方が、分かりは良いと思いますわ。」
楓はその言葉を聴くと、胸をなでおろし安心したようだ。
そして先程まで城に居たのに、突然宿屋に居る理由を聞いたという。
「……実はですね……。」
佳恵は今まであったことを、包み隠さず全て楓に言ったという。
もちろんあの出来事も。
「えっ……私は東牙を……斬ったのか……?」
「ええ、見事な一閃でしたわ……。」
楓は自分自身が行った行動に、絶望をしていた。
そして「東牙は大丈夫……なのか……?」と、佳恵に確認する。
「……ここは大丈夫と言ってあげたいのですが……残念ながら、東牙の上半身には傷が深く残ってしまいましたわ……。」
この佳恵の言葉により、もっと楓は絶望する。
そして「私が……東牙を……。」と、かなり精神的に追い詰められたという。
「東牙は自分が無防備だからという理由で、決して楓さんを悪く思ってないですわよ……。」
「でも……やったことには変わりない……もう……私は東牙に会わせる顔がない……。」
佳恵はこの言葉を聴いて「これはしばらくそっとした方が良いですわね……かなり精神的に追い詰められていますわ……。」と、眉間にしわを寄せて、心で呟いたという。
そしてその場に立ちあがり、黙って部屋から出て行った佳恵だった。
○
「で?あの楓とかいう女は大丈夫なの?」
「だめですわ……あれはしばらくそっとしておかないと、さらに精神的に追い詰められてしまいますわ……。」
2人は違う部屋で、楓について話をしていた。
そして次に城へ行くときは、1人減った状態という事が頭の中にすぐ思い浮かんだ。
「う〜ん……困ったわね……肝心の東牙は、安静に寝ているし……。」
「いえ……あれは東牙でなんとかなるものではありません……なんとなくわかりますわ……あれは自分自身に勝たなければ絶対に脱出できないと……。」
佳恵はいつもの目を、キリッとさせて蓮花に言った。
あの佳恵がここまで深刻に言うときは、絶対に嘘はないと思った蓮花は「分かったわ……あの楓とかいう女に賭けてみるわ。」と、同じく深刻に言ったという。
「……では、次にわたくしは東牙の心配でもしてきますわ。」
佳恵は一言呟いて部屋を出ていった。
すると蓮花は「あっ!こら待て巨乳女—!」と、言って同じく部屋を出て行った。
先までの深刻な空気は、嘘のように消えて、いつもの空気が流れた。
だが2人は、なんでも“切り替え”が大事だという気持ちを持っていたので、こんな行動をしたという。
そして2人は、東牙に少々怒鳴られたのは言うまでもない。