複雑・ファジー小説

Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.49 )
日時: 2011/06/21 23:44
名前: コーダ (ID: UXIe.98c)



「……どういうことでしょうか?」


 当然のようにどうしてこのようなことをしたのかを聴く佳恵。

 蓮花はふっと笑い「罰よ……罪に対する罰をあなたに決めてもらいたいのよ……。」と普段の少女からは予想もできない言葉が出てきた。

 この言葉に佳恵は何も言わずただ黙っていた。

 人として尊敬できる男性を成仏させるかさせないかという究極の選択をずっと頭の中で考えていたという。

 そして何かを決心したのか佳恵は刀を両手で持ち橋鍍を見つめ「すみません……やはりあなたは成仏をして考え直してほしいですわ……。」と目を吊り上げて言った。


「ふざけんじゃねぇ!俺はこんな所で死ぬような男じゃねえってのぉ!くっくっく……仕方ないぜぇ……究極の闇魔法をとなえ……となえ……唱えられないだとぉ!?」


 落ちている魔道書を拾い、そのまま適当なページを開いた橋鍍は突然唖然とした。

 なんと魔道書には普段闇魔法を唱えるために必要な呪文がびっしり書いているはずなのになぜか今だけ全部白紙となっていたのだという。

 そして橋鍍ははっとしてエントランスに居た蓮花を見た。


「まさかぁ……お前かぁ!?」

「闇の文字を消すためにはもちろん光りよね?あのジャッジボルトを魔導書に討ったのはそのため…………チェックメイトね……ふふ。」


 蓮花は最後までやってやったという顔をして橋鍍に言った。

 これによりこの男は何もできなくなりただ目の前に居る佳恵を見ることしかできなくなったという。


「おいおいぃ……本当に俺を成仏させるのかよぉ?」

「もちろんですわ……あなたは本来居てはならない存在です……心惜しいですけど……私は今あなたを成仏させます……!」


 佳恵は刀をぎゅっと握りそのまま橋鍍の懐へ行き斜めに一閃をした。

 —————————————————————ジャキン。

 男の体は斬られその傷口からは闇ではなく光が出ていた。

 その後ろに居た佳恵は刀をくるっと回し鞘へ入れ目から涙を流しながら「もしあなたがきちんと生きて私に会っていたら間違いなく一目惚れしていたでしょう……。」と呟く。

 橋鍍は最後に「済まねぇ……。」と一言呟いてこの世から成仏したという。

 エントランスからは禍々しい闇が全てなくなり橋鍍が立っていた場所には黒いローブが無造作に置かれていた。

 佳恵はそれを拾い思いっきり抱きしめその場にペタリと座ってしまった。

 蓮花は「本当……馬鹿よね私……聖魔閃々に闇の契約を帳消しにするオマケをつけてしまうなんて……裁判官なのに……。」と自分の甘さを実感していたという。