複雑・ファジー小説
- Re: 復讐 5年の歳月を経て… ( No.55 )
- 日時: 2011/06/22 20:19
- 名前: コーダ (ID: xlOcEZUh)
「けっ……ここまで来れば良いだろう……。」
「観念したか……。」
ギャラリーから長い廊下を駆け抜けてはまた階段を使って城の3階へ行きまた長い廊下を駆け抜けてその真ん中あたりでようやく立ち止まった諺瑚。
東牙も10mくらい距離を離していた。
「お前とはガチンコで戦いたからなぁ……余計な奴らは要らん。」
「正々堂々と戦う刑事か……面白い。受けて立とう……!」
東牙は月刀を鞘から抜きそのまま真っすぐ諺瑚の懐に向かったが刑事は銃の銃身で東牙の刀を受けそのまま押し合いと言う形になった。
そして例の法則で東牙は少し後ろに下がり「科門奥義第四目『落垂刀(らくすいとう)』……!」と一言言ってその場で思いっきり飛翔した。
ガキン、と何かが斬れるような音が城の内部で響いた。
諺瑚はまた銃の銃身で受けてその場を乗り切ろうとしたが思いのほか東牙の力が強く銃身が耐えきれずそのまま真っ二つに斬られてしまったのだ。
「落下速度を使えば普段の倍以上の力が生み出せる……俺はあいにく体重の方はないが十分すぎたようだな……。」
東牙の落垂刀はその場で飛翔して自分の体重と落下速度を積数した分の力を相手に食らわせるという論理的な攻撃だった。
これにはたまらず諺瑚は「さすがだな……。」と呟いて斬られた銃をその辺に捨てまた新たに銃を懐から出した。
「まだ銃はあったのか……お前は本当に刑事か?」
東牙はまだ銃があったことにメガネをくいっと上げながら突っ込みを入れた。
すると「これは先のようにはいかないぜ……。」と一言諺瑚は言ってそのままバンッと発砲する。
しかし東牙はすっと横に移動してその場を切り抜けたが。
—————————————————————————ドカン!
後ろの方からなぜか直径1mくらいの小さい爆発が起きたという。
これにはさすがに唖然として「おいおい……。」と呟いた東牙だった。
「避けたか……良かったな。俺が改造した爆撃弾(ばくげきだん)に当たらなくて……。」
「爆撃弾だと?」
諺瑚が言ったワードに東牙はかなり疑問を持ち思わず聞いた。
すると諺瑚は銃の銃身を肩に乗せ仕方ないなと言わんばかりの目つきで説明をした。
「まぁ、様は弾に火薬を少々入れただけだ……ただ当たるだけじゃ面白くないだろ?心配すんな。命はとらない程度にしている……ただ、お前が無駄に動いて変な所に当たりさえしなければな……。」
「ちっ……厄介な物を作りやがって……。」
当たれば即アウトな銃に東牙はとても警戒し始め諺瑚も銃を突きつけお互いずっと距離を離そうとも縮めようともしなかった。
これでは一向に勝負が決まらないと判断した東牙は思い切って刀を鞘に入れ真っすぐと諺瑚の懐に行った。
だがその瞬間刑事はバンッと発砲してきた。
ガキン、ガキン、ドカン—————————————「ふっ…………甘いな刑事……。」
東牙はいつの間にか諺瑚の背後に立ちながら刀に傷がないかを見ていた。
刑事は「ちっ……降参だ降参!」と不機嫌な顔立ちで叫んだ。
どうやら東牙は諺瑚が撃った弾を月刀で目に見えないくらいの速さで居合をして弾を真っ二つにして軌道を左右にそらし、そのままもう1回諺瑚の銃を思いっきり居合したらしい。
その瞬間左右に軌道がそれた弾は同時に城の壁に当たり爆発した。
「(樅霞が言っていた通りだ。月刀に傷1つもついていない……やはり俺向きか……。)」
東牙は巫女が言っていた事を思い出し本当にそうなんだなと実感をしてそのまま刀を鞘に戻した。
「さて……どうしたものか……。」
腕を組みながらこれからどうするかを悩んでいた東牙。
すると諺瑚は「所でお前の目的はなんだ?」と露骨に聞いてきた。
「当初は蓮花と佳恵さんを救出する為だったが、突然鞘嘉多四天王が現れたからついでに倒す……そして刑事との勝負を付けるくらいだったか?」
頭を悩ましながら目的を坦々と述べる東牙。
すると意外にも行き当たりばったりでそんなに深く考えていないことに気がついたという。
「けっ……頭は良くてもまだまだ考え方は若造だな……仕方ねぇな。ちょっといいこと教えてやるよ……この城の最上階に鞘嘉多家に間接的だが関わっていた人間が居るってよぉ……どうするかはお前次第だ……。」
腕を組みながら諺瑚はまだまだ人間として若い東牙に道しるべを教えた。
すると「興味深い……だが今は無理だ……。」と呟きそのまま来た道を急いで戻った。
「仲間の心配が1番か……こちら鉈崎。総員戦闘態勢を解除……間違っても東牙達を攻撃するなよ……。」
通信機を片手に諺瑚は部下に命令をする。
そして「適当に言い訳を考えてくかぁ……。」と呟きながら最上階に上って行ったという。
○
「区切り……ついたかしら?」
「はい……すみませんわざわざ……。」
黒いローブを片手に持ちなにかが吹っ切れた感じがする佳恵。
蓮花はやれやれといった顔つきで彼女を見ていた。
「さて……東牙はどこに行ったのかしらね……。」
「あの刑事さんかなりのつわものらしいですからね……東牙曰く……。」
2人の心は共鳴してこくりと頷いた瞬間ギャラリーから「悪いな……気合い入れてもらったところ……。」と聞き覚えのある声がふとこの先から響いた。
そして「全く……生きてるなら早く来てほしかったわ。」と蓮花が上を見ながらまたやれやれと言わんばかりの口調で言った。
「仕方ないだろ……あの刑事が粘り強くて…………よっと……。」
東牙は遅れた原因を言った瞬間ギャラリーからエントランスまで飛び降りる。
そして何事もなかったかのように「どうやらそっちはそっちで片付いたみたいだな……。」と佳恵を見ながら呟いた。
「はい……とても優しくて家族思いの長男でした……。」
「……そうか、どうしてこう四天王は敵にしておくには勿体ない奴が多いんだか……九寺といい楓といい橋鍍といい……。」
ぶつぶつ不満を呟く東牙。すると「ちょっと前の東牙ならそんなこと気にしなかったのにね……やっぱり変わったんだねあんた……。」と蓮花が改めて変わったんだなとちゃちゃを入れた。
「うるさい蓮花……。」
「うふふ……照れなくてもいいんですよ東牙?」
しばらくこんな感じの会話が繰り広げられていた。
そして一旦切り上げこの城を後にした3人だったという。