複雑・ファジー小説

Re: 復讐 5年の歳月を経て…… ( No.66 )
日時: 2011/07/03 15:59
名前: コーダ (ID: W4Fe.vPq)

「そうですか……橋鍍は戦死しましたか……。」

 一方、しばらく騒ぎが続いていた城の最上階では、夜尭が橋鍍の死を、悲しく受け取っていた。
 諺瑚は椅子に座りながら「死ぬには、惜しすぎたぜ……。」と、新しい銃のメンテナンスをしながら呟く。

「しかし、悲しんでいる場合ではありません……また、東牙達がここに来る可能性はあります。早く策を立てなければ……。」
「さすがに、俺だけじゃ無理はあるぜ?他に良い人材はいないのか?」

 諺瑚は、内ポケットから昨日真っ二つに斬られた銃を、ぶっきらぼうに机の上へ乗せて、人材を要求する。
 だが夜尭は「今のところ、人材は居ないです……。」と呟いた。

「けっ……じゃぁ、黙って攻め込まれるオチじゃねーかよ……。」

 確かに、この男が言っていることは正しい。
 橋鍍は、なんだかんだいって2人の相手をして、時間を稼げたが、今回はその綱はもう居ない。
 夜尭は「な、なんとかしないと……。」と、少々焦りを感じていたという。

 コンコン、突然部屋の外から、ノックする音が聴こえてきて、2人は思わず驚いたが、夜尭はすぐにいつもの口調で「どうぞ。」と、言う。

「失礼〜……って、なんか陰気臭い空気ね……もうちょっと、軽い空気でいかない?」

 入って来たのは、とても派手な服装をして、アクセサリもジャラジャラつけた20代前半くらいの女性。
 思わず諺瑚は「失礼だが、所属と名前を聞きたい……。」と、警戒した感じで女性に話しかけた。

「そんなに警戒する必要もないよ〜。私は、鞘嘉多四天王の1人、璃澄 姫狗(りすみ きく)。別名、謎のトリックスターよ?」

 姫狗という女性は、自分の自己紹介をした途端、懐からたくさんのカードを取り出し、見事なシャッフルを披露する。
 そして山札から、1枚カードを取り出すと「ビーナスに入る幸運……うん。あなたは必ず報われる時が来るわ。」と、諺瑚に一言呟いたという。

「は、はぁ?」

 状況がいまいち読めていない2人に、姫狗は堂々と、そこら辺にあった椅子に座り、胡散臭い雰囲気を出しながら説明をしたという。