複雑・ファジー小説
- Re: 復讐 5年の歳月を経て…… ( No.86 )
- 日時: 2011/06/27 22:25
- 名前: コーダ (ID: 3P/76RIf)
「なるほど……そういう事でしたら、歓迎します。」
「うふふ、物分かりのいい人は良いわね〜。」
時は少し戻り、丁度15時くらい。
姫狗の説明で、2人はやっとどういう事か、理解できた。
「橋鍍の代わりと思って良いのかぁ?」
「まぁ、そうなるわねぇ……橋鍍が死んだのは正直ビビったけど、後は私に任せて……必ず、東牙達を混乱させるから。」
姫狗はそう言って、カードを取り出し不気味に笑いだした。
先から使うカードは、一体どういう意味があるのだろうかと、諺瑚だけは、ただただ疑問に思っていた。
「それは頼もしいですね……。」
「楽しい勝負(ショー)を披露するわよぉ……あっ、もう少ししたら戻ってくるって……あのお方が。」
姫狗は思い出したかのように、夜尭へ言った。
あのお方とは、一体誰のことなのか?とりあえず言えるのは、東牙達の敵かもしれないという事だけだ。
「けっ……俺の足を引っ張らない程度にしてくれよ?俺は鉈崎 諺瑚、見たとおり刑事をやっている……じゃぁ、また作戦で会おう……。」
諺瑚は、ぶっきらぼうに姫狗へそう告げ、そのまま敬礼をして部屋から出て行った。
姫狗は「あの人、刑事だったの?」と、今更気づき、驚いていたという。
○
「鉈崎警視!一通の手紙が届いています。」
部屋から出ると、数人の隊員が待っていて、そのまま一緒に長い廊下を歩き始めた。
そして、1人が思い出したかのように、スーツのポケットから手紙を出して、それを諺瑚に渡した。
「ん?……おっ!紗枝からか!」
諺瑚の手紙は、妻紗枝からのものだった。
刑事は嬉しそうに、手紙を、歩きながら読む。
そして「もう少ししたら帰ってくるからな……。」と、呟き、手紙を元の状態に戻し、スーツのポケットに入れた。
「やっぱり、仲が良いですね〜。」
「な、なんだよ……当たり前だ!」
隊員の言葉に、諺瑚は照れ隠ししながら怒鳴った。
紗枝という女性は、本当に諺瑚のことを愛していると思われる。
その証拠に、夫が仕事の支えになる手紙を、何通も届けているからだ。
「早いところ、仕事を終わらせましょう。」
「そうだな。」
今の目標はただ1つ。
妻のため、娘のために、仕事を1日でも早く落ち着かせて帰る。
諺瑚は、この目標で気合いが入り、とりあえずパトロールに向かった。