複雑・ファジー小説

Re: ヒューマノイド。  【Σ参照五百突破。】 ( No.126 )
日時: 2011/07/04 20:11
名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: itXtuB4h)
参照: 仲間登場、んでもって、ユーリカと朧が死にましたねー笑←

跳んだ状態から、さやから抜いた日本刀をユーリカに切りつけた。同じように、ユーリカも薙刀でガードした。

「アンタ達は何を言われた!?」

 重なり合う刃。刀に力を込めながら、私はユーリカという少女に問うた。ユーリカは薙刀を握り締めて、歯を食いしばった。

「それは……、言えません」
「何故だ!? 何故、私達を襲う!?」
「ボスから、口止めがかかっています」

 彼女の薙刀に押されて、日本刀が悲鳴を上げた。腕を切り裂く刃の音を聞きながら、私はユーリカに切りかかった。

「残念ですよ。貴方も、貴方の仲間も、此処で終わるんですから」

 ユーリカは喋りながら、日本刀を身軽な動作でよけた。
 今度はユーリカが切りかかってくる。右腕から滴る紅い血が美しい。腕の痛みに耐えながら、必死の思いで刀をかわした。頬にすこし傷をつけた。

「おのれ!!!」

 ユーリカに切りかかろうとすると、腹に強烈な痛みが走った。腹のほうを見ると、ユーリカの薙刀が綺麗に、腹を貫通している。
 絶えられず、血を吐くとユーリカが言った。

「終わりですよ。どんなに足掻いても、無理です」




「……お……おのれ……」

 遠ざかっていく意識の中で、本能が最期を感じ取った。




「……中々ですね」

 シロは相手……朧と名乗る青年が跳ぶと同時に撃った銃弾が貫通した腹を押さえながら、呟いた。スラッグ弾ですか……。

「銃ならこちらも負けては居ませんよ」

 腰からサブマシンガンを取り出すと、朧に向かって引き金を引いた。すさまじい爆発音がした。爆発音が引いた後の穴の開いた廊下に、朧の姿はすでに無かった。

「残念だな」

 声のするほう……、後ろを振り返ると、銃口をシロの頭に向けて立っている朧が居た。
 ——な!? いつのまに……!!

 頭を、銃弾が通過した。




「チッ」

 俺は二兆の銃を両手に持ちながら、フェーレイのレイピアをかわしていた。ったく、こんなんじゃ撃ったとしても弾の無駄だな……。

「飛び道具とは卑怯ですね……」
「卑怯も何もねぇだろ。お前らが仕掛けてきたんだろ?」

 額に汗を流しながら、あえて落ち着いた感じで言ってみた。こっちが必死なことくらいとうにお見通しなのだろうが、こうでもしないと死んでしまう、そんな気がした。
 強い。とにかく、強い。格が違うんだ。

「何事も、スマートに行きましょうか。無駄な動きは、命取りですよ?」

 一発撃った銃弾を安易にかわされて、俺はもう一度したうちをした。
 駄目だ、勝てない。

「ほら」

 声と同時に、喉に鈍い痛みが走った。恐る恐る喉を見てみると、喉を切り裂いたレイピアの先端と、ぱっかりと口を空けた紅い喉がかすかに見えた。

 終わり、か。

「残念ですよね。こんなに簡単に皆様が死んでしまうなんて」

 終わりだ。俺は地に倒れこみ、静かにまぶたを閉じた。




刹那。




「ガハッ!!」

 ……今の誰だ?
 俺はついさっき閉じた重たいまぶたを持ち上げて、悲鳴に近いうめき声の正体を確かめようとした。だが、この瞼が鉛よりずっと重くて持ち上がりそうも無い。仕方が無いから、しばらくは音声だけで楽しむことにした。——なんてのんきなこと言ってる場合じゃねえんだけどな……。これほっといたら死ぬぞ。出血死あーあーあー。

「ねーねー、もう面倒だしとっとと片付けちゃお?」
「そうですね」
「まず一人やったぜ、俺様がな!」
「殺すのって……面白いね」

 女が二人と、男が一人とちっさい男が一人、こんなところか。で、今声を上げたのはアンドロイドの誰かって所だな。どいつもこいつも何の目的で戦ってるのやら……。

「あ、貴方は……わたしを、殺しに来たのですか?」

 これはユーリカって女かな。あーあ、流れ的に殺されるんじゃね?

「自分で死ぬか、レイに殺されるか、選ばせてあげる」

 レイ? これは、ヒューマノイドだろうか。

「無論、ですね」

 空を切り裂く鈍い音と、悲鳴が交じり合った。振り回すタイプの武器……、フレイルか。

「あー! レイのエモノとっちゃダメ!」
「しょうが無いだろー……ってああ!!」
「……逃げられちゃったね」
「ちくしょう!! 無駄話が多いんだよったく!!」
「大丈夫ですよ、一人だけですから」
「あ、そうだ。倒れてる人達助けてあげなきゃー」
「じゃあ、一人で一人もちあげて下さい。ヒコスケは海斗さんが加勢してあげてください」
「おう」
「じゃあヒューマノイドルームまで。レイ、先に行ってる」

 途切れ途切れになった意識のなかで、誰かに持ち上げられて揺られる感覚がした。