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複雑・ファジー小説
- Re: 【第二話突入】ヒューマノイド。 【参照六百突破ァ!?】 ( No.150 )
- 日時: 2011/12/24 13:20
- 名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: AidydSdZ)
「疲れたから寝ようぜ」
ライはそう言って、硬いコンクリートで出来た壁に寄りかかって座った。その表情を見る限り、本当に疲れていることを推測したティアは賛成、と、短く言って座り込んだ。それに続き、シロ、海渡、サイファー、ヒコスケ、と、寝転がったり寄りかかったりして、居眠りを始めた。
現在の時刻、午前零時十七分。〝ライがこの組織に着てから〟数時間が経過しようとしていた。そう、たったの数時間。
皆が静かに寝息を立て始めたころ。——否、海渡以外が静かに寝息を立て始めたころ。
「ねえ、寝てないんでしょう?」
——気づいてやがった、か。
ライは狸寝入りを止めて、くすんだ黒い瞳を開いた。
「よく分かったな」
「分かるわよ。だって……」
後の言葉が続かない。ティアは全てを知っているはずなのに、それをライに伝えようとはしなかった。
ティアの哀しげな表情は読まず、ライが言葉を突き刺す。
「だって?」
「……今の貴方には言えないわ。——ねえ、不安じゃない?」
「不安? 何が」
「やっぱりいいわ。貴方には……——」
曖昧に語尾を濁したティアに、ライが軽く呟く。
「大丈夫。お前だけは、きっと守れる」
「……その言葉、信じておくわ。おやすみ」
「おう」
それは、哀しげな笑みだった。その悲しみの海の中に、一輪の花が咲いていたことをライは見落とさなかった。
まだ、希望はある。
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