複雑・ファジー小説

Re: 【第二話突入】ヒューマノイド。 【参照七百感謝】 ( No.163 )
日時: 2011/07/16 15:25
名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: LMPzgpkP)




 何処にいるのか分からない。分からない。けど、予測は出来た。多分、ボスの部屋。
 ライは本気で走っていたので、ボスの部屋までは三十秒くらいで着いた。
 ライはそのまま、ドアノブを掴んでまわそうとした。が、まわらない。ライは舌打ちをして、ドアから少し離れて、ドアを思いっきり蹴った。鉄のはずの扉は簡単に外れて、轟音を立てて倒れた。

「ティア、居るか」

 誰も居ない、電気の消えたボスの部屋に小さな声が反響する。
 ライは息を吸い込んで叫んだ。

「ティア、居るか!!」







「ラ……」

「ティアか!?」


 かすかに、声がした方へ歩く。
 ——間に合った。

 部屋の隅にある、紅い布がかかった怪しいモノを見つけ、ライは紅い布を引き剥がした。

「ティア!」

 布の下にはティアの姿があった。形が残っていることに、ライは喜びを隠せない。
 血で汚れたティアの口元がかすかに動く。

「……————」
「え?」
「……に……げて」

 ——逃げて?

「逃げて!」

 ——何故?

 ぽつん。
 ティアの涙が落ちる音が響いた。

 ——涙。血。
 こいつ、ヒューマノイド……ロボット、だろ?




「……折角のラブシーンだったのにな。すまないな」

 聞いたことのある声が、後方で聞こえた。
 とっさに振り向く。



 ——朧……と、アンドロイド…。死んでなかったのか……?




「残念でしたね。もう終わりですよ、こんどこそ」

 フェーレイが、かすかに笑った。