複雑・ファジー小説

Re: 【趣旨を間違え】  ヒューマノイド。  【感動モノに】 ( No.187 )
日時: 2011/07/22 21:01
名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: LMPzgpkP)
参照: 続けようと思ったら666文字だったから繋げられなかったorz



「ティアさん、大丈夫なんですか」

 朧を始末したユーリカが、ティアの元へ走る。
 ティアの頭がライの手の中に納まっていた。その表情は苦痛にゆがみ、首のほうから汗が吹き出ている。

「……クソ、どうやったらこんなことに……ッ」

 鉄でできた犬が、吠える音が反響した。——鉄になり切れなかった、哀れな出来損ないの屑の犬が、吠える。
 ユーリカは、それをただ見ていることしかできなかった。

「……ぁ」

 残響が消えた。部屋が一気に静まり返る。ティアがかすかに声をこぼした。
 鉄の犬がひびの入ったダイヤモンドを優しくなでる。
 アンバランス。何もかもが違った。

「……あ……。……アナザー……」

 ——アナザー?……もうひとつの————……。
 ライには、言葉にあらわせていないものがはっきりと見えた。ティアが叫んでる。声をださずに、叫んでる。それが、はっきりと聞こえた。
 アナザー……————アナザー・ティア。
 もうひとつのティア。




 どういう意味だ?(感づいてやがったか)

「……ライさん、あれ」

 ユーリカが小さく声を上げた。ライは顔を上げて、ユーリカの細い綺麗な指が指す先を見つめた。
 ボスの部屋の扉が、かすかに開いている。






「アナザー・ティア…………!」

 そう、それはまさに、もうひとつのティア。
 もう一つの……涙。

 ティアと、まったくと同じだった。
 立ち振る舞い、雰囲気、様態、目の色……眼差しの、色までも。まったく、同じ。

 どういうことだ?(悪いタイミングだな)

 ティアはライとユーリカの視線に気がつくと、小さく口を開いていった。














「Who are you?」