複雑・ファジー小説

Re: 黒電話がつげた ( No.2 )
日時: 2011/06/25 23:51
名前: 蛾 ◆sSA6ZLKK6w (ID: uWyu1tga)

第一章   着信音

 まったく、あの世でも死神界でも、ここ、人間界でもやっぱり「いざというとき」は女が強い。ちょっと前の時代は「女<男」の公式で成立されていたのが、今現在では「女>男」の公式で世界は、いや日本は成立されている。
 この間の理科の鳥の解剖の時だって男子は「めんどくせー」を言い訳とし女子にすべて任せっきりだった。「男子は意外と繊細なんだぞ!」と半泣きで訴える道以外残っていない。よく考えれば俺らの日常はほぼ崩れているんじゃないか?は、所詮俺らなんてただの屑だ。

 観覧車の中でやっとできた「初・彼女」と一緒に座っていたとき。
 設定した着メロと同時に携帯が震えた。
ギターの音がやけにでかい音楽だが、そこが好き。・・・まぁ誰にも理解してもらえないんだけど。
 誰からだろ。
ケータイを開く。黒に近い青の携帯は親に無理を言って中1のときに買ってもらった。それから約1年半愛用している。その約1年はとても充実していた気がする・・・。が、残りの半年は最悪だった。人生で一番最悪な時期のような気がする。「悪魔の半年」。中間テストの順位、これが後ろの方から数えた方が早い順位にまで下がったし、好きな子に告白した所「実は彼氏がいる」という理由でふられてしまいましたし・・・。思い返すだけで溜息が出てくる。彼女の粋ちゃんはなんだろう、不思議そうな顔で俺の顔をの覗き込んだ。やべぇ、こっち見んな、可愛い。
 「瑛太くん、どうしたの?メールは?」
 粋ちゃんはやべぇくらいに可愛い顔で俺を覗き込んだ。やめろっつーの。俺の心臓破裂するぞ。
 「ん・・・、いやなこと思い出した」
 俺は苦笑する。携帯の画面に目をやる。
あれ?と思った。

 待ち受け画像がいつもとは違っていた。
ん?なんだろこれ。

よく見るとそれは
 

    黒電話だった。


 それは、あの学校の黒電話。
途端に腹の底からいろんなものが上げてきた。

吐き気が瑛太を襲う。

「ウッ・・・・あ、は オエッ・・・・ゴポッ」
 水がこぼれる音がした。瑛太は口を押さえる。しかしそれも空しく指の間からもいろいろなものが洩れてくる。瑛太は床にうずくまる。
「ハァッ、ハァ・・・ゴポッ・・・ゲホッ・・・・・」


   血だった。

どろどろととろとろの中間の感触。赤黒いけど、どこか透明感を持っている。
「きゃぁぁああぁぁぁ!!!」
 粋ちゃんは恐怖で悲鳴をあげた。はは、やっぱ可愛いや。こんな状況でも粋ちゃんは可愛かった。
 頭の中で警報がなった。
ギ———————・・・     ン
 耳鳴りがする。
粋ちゃんは俺を怖がっている。観覧車の隅の方にもたれて短い悲鳴を何回もあげた。また血が口から洩れる。そのたびに腹がキリリと痛んだ。そして、そのたびに粋ちゃんが叫んだ。
「瑛太くんっ!?だ、いじょうぶ!??」
これで大丈夫だったら俺凄いよ。神だよ。

 「だ・・・じょぶ、じゃ、  ない、か・・・・も」
死にそう、半死状態で俺が答える。
 かっこわりぃ。
よく見ると粋ちゃんは泣いていた。目を真っ赤にして、俺の背中をさすってくれていた。 
「大丈夫・・・?瑛・・・太ぁ・・・・」
あ、「くん」なしで呼んでくれた。どうでもいいことばっかりに気付いてしまう。
「ゴポッ・・・・」

また血が出る。一体何所から血なんて出て来るんだよ。
  肺でもやられたか?もしかして心臓破裂しちゃった?

「ゴポッ・・・。ゲホッ・・・・・」

まただ。溢れるほどの血。
観覧車の床は赤で染まっていた。まさにグロ映画のワンシーン。
ヒュ——・・・・ヒュ————・・・・・・・
「瑛太くんっ・・・!?瑛太く———・・・・」
粋ちゃんの声と、俺の意識が遠のいていく。

そこから先はもう覚えてない。

 
 
 「いざというとき」男は「凄いミス」をしがちである。

瑛太の意識が途切れたとき、放り投げられた瑛太の携帯が観覧車の中に鳴り響いた。