複雑・ファジー小説

Re: 黒電話がつげた ( No.4 )
日時: 2011/07/01 23:52
名前: 蛾 ◆sSA6ZLKK6w (ID: OnlANcr4)

 俺が「あの出来事」の起きた日の次に目を覚ましたのは病院の一室の中でだった。あの日以来、粋ちゃんの顔を見ていない。
 
 粋ちゃん、どうしてるかな。

 そういや、俺が血吐いたとき、粋ちゃんの花柄のワンピ汚しちゃってたよな。今度一緒に買いに行きたいな。

 思うと溜息だけが出てくる。

ゴワン・・・・———

一瞬目の前が歪んだ。
そこへ、聞き覚えのある声が廊下から響いてきた。あれ・・・、この声、誰だっけ。聞いたことは何十回も、何百回もあるんだけど、声の主が誰だか分からない。
「あっ、瑛太くん!?起きたの!!?」
 瑛太くーん、とその女の子は病室のドアを開けるなり走ってきた。

 瑛太って、誰??

 なんか頭ん中がざわざわしてきた。
その女の子は俺の膝の上で半泣きしていた。
 
 え????

「あの、だれですか・・・・・?」誰だかわからず俺が尋ねる。

「え????」

女の子は可愛い顔で返してきた。わけがわからない、という顔をしている。こっちもわけがわからない。

「だれって、・・・・え?私、粋だよ?」
 女の子、粋という女の子はきょとんとした顔でいる。え・・・・・・?

俺は辺りを見回す。
 ここは病院だろ?そして、俺は——・・・・・えーっと・・・・・・。

 俺の何故か寝ているベットには白いプレートに「小林 瑛太」と油性マジックで書かれている物が貼られてあった。俺が「小林 瑛太」??

で、この目の前の子が粋ちゃん、と。
よく見ると俺のベットの周りにはよく分からん機械と何だ?瓶に入った薬とかカプセルとかが10種類程おいてあった。
 それと、点滴だろ?
あと・・・・着替えと、携帯。
俺はどうしてここに?

「あの、俺が小林瑛太なんですか?」
俺が聞くと粋ちゃんという子は「なんでそうなるの・・・・・・?」と、真っ白の肌に涙を零した。
白い肌に一筋の涙が流れた。
「あ、あのっ・・・・?なんか、すいません・・・・・」
 苦し紛れに答える。
「冗談はもうやめて・・・・」
女の子は泣きながら訴える。「もう」という言葉が非常に気がかりだった。

「あのっ・・「本当に分からないの?瑛太くんが誰だか、私のこととか、全部・・・っ」
 女の子は俺の言葉を遮ってそれだけを言うと病室を出て行った。
ばたん、と言う音が病室に響いた。