複雑・ファジー小説

Re: 俺様の勇者伝説 第四話 国は滅んだ  ( No.8 )
日時: 2011/06/18 19:31
名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)

村は、戦火に包まれた。
いいや、正確には国中が、だ。
隣国はこの国の王との結婚を申し出ていた。
だが、この国の王は断った。
たった、それだけだ。
断りの手紙を出した数日後、隣国は軍をつれて言った。
「許さない」
と。

たった一途の恋心のために、国中は戦争の火を散らし、たくさんの人が
死んでいく。

そもそもこの国は、軍を持たないものだ。
だから、一度軍をつれてこられると、おしまいだ。
そもそも、何故今まで無事だったかというと、他の国と条約をむすんでいるからだ。
「わが国は、戦争はしない。よって軍ももたない。
貴方たち国々とはかならず貿易をするから、わが国を
攻撃しないでくれ」
という内容だ。

そして、その隣国との条約が破られた。
もちろん、軍で攻撃するためだ。

国は、滅んだ。
生き残りの民は、小さな土地に集まって住み、もともとは仲の
良かった隣国に怯えながら暮らすのだ。

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・

「クルア・・・クソ爺・・・いるんだろ・・・?」
メリルは、歩いていた。
曇天の下を、そのボロボロになった身体を抱いて、一人で歩いていた。
「もう・・・ひとりはいやだよ・・・。」
メリルは泣いた。
恐ろしいくらい静かに泣いた。

「あっぅ・・・うっくぅ・・・。」
周りは、焼け跡ばかり。
そして、目の前は門。
それは、隣国とつながる為に作られた門。
メリルは、静かに泣きながら門の間を通って行った。
「クルアは、こっちにいるんだ・・・。
そうだろ、クルア・・・!」

誰もいないところでメリルはクルアを呼び、そして倒れた。

「おや・・・?」

そこへ、一人の男性が通りかかった。
軍の人間ではなさそうだ。
とても、おっとりとした雰囲気である。
「もしや、この戦争で・・・?」
なにかを悟った男性は、金髪の男性を連れてきて、
すぐに怪我の手当てをするように言った。

「怪我を治してから、いろいろ聞いてみますか・・・。」

雲が晴れた。

第四話 完