複雑・ファジー小説

Re: 俺様の勇者伝説 第七話 どうしよう ( No.23 )
日時: 2011/06/21 20:07
名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)

「・・・は?」
メリルは、目を見開きライヒを見た。
一方ライヒは、いつものように無表情でいた。

「おい、どういう意味だ?第一、お前なんも説明してねーじゃねぇか。
駄目って、なんだよ!」
「そのままの意味ですよ。」
「なっ・・・!」
ライヒはそのまま穏やかな目でメリルを見て、窓を見た。
「そうですね。簡単に説明しましょうか。
あなたは、倒れていたのですよ。あの門の、前で。」
そう言うライヒの視線は窓の奥だ。
そして、その窓からはメリルのいた国と隣国とが繋がる門が見える。

「恐らくですが、あなたはわが国が行った、あなたの国の集団リn・・・戦争に巻き込まれ、彷徨い歩いていたんだと思います。」
「・・・へ〜。(なんか言い直さなかったか、ライヒ。)」
「私は、国がどうなったか大変興味深かったので、門までいってみました。」
「わかった。お前昔よくやんちゃして迷子になったりしてただろ。」
「少し黙っててください。そこで、あなたが倒れていました。おわりです。」
かなり短い説明だが、メリルは納得したように顔をコクコクとし、
また質問を投げかけた。
「とりあえず、俺がなんでここにいるのかはよくわかった。
じゃあ、お前が駄目になったって、どういうことだよ?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

長い沈黙が続いた。
そしてライヒはというと・・・。
「あなたにはまったく、ええ、まったく!関係の無いことです。」
柄にもなく冷や汗をだらだらと流し、口元は引きつっている。
「・・・お前、嘘つくの下手糞だな。」
「・・・駄目ですか?」
「駄目に決まってんだろ童顔野郎!!!!」
「そうですか。」
ライヒは諦めたかのようにはぁ・・・と、ため息を吐くと、
語りだした。
「今度、私は殺されるそうです。」
それも、とびっきりの笑みで、語り始めた。
「へ・・・?」

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・

銀髪の女がいた。

普通の女ではない。

気高き女戦士だ。

「裏切り者がおるわ・・・。」
                     ・・・
そういって口角を上げると、女は消えた。

「裏切り者は倒さねば・・・。」

紅いものが宙を舞う。

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・

「私は、この国では裏切り者として扱われています。」
「な・・・なんでだよ・・・。」
「あぁ、簡単なことですよ。門を超えてしまったようなのです。」
「はぁ?」
意味がわからないといった顔をしたメリルを見てライヒは怪訝な顔を
すると、また語り始めた。

「この国では、他国以外に立ち入ることは禁止されているのです。
なぜなら、この国では他国民と会話する、あるいは他国に居座る、
他国に立ち入るなどが禁止されているからです。
他国民は汚れ者として扱われますからね、私の国は。」
「・・・汚れ者・・・。」
メリルは汚れ者という単語に敏感に反応した。
自分がその他国民で、この国では汚れ者として扱われると聞いて、
少し心を痛めた。

「あぁ、メリルは大丈夫だと思いますよ。
外見は12歳以下に見えるので、殺されはしないと思います。」
「物騒なこと言うな。」
「なんだか子供らしくないですね。もう少し怯えてくださいよ。」
「お前、Sだったりする?」
「ふふっ・・・。」
そうしてライヒが笑った瞬間、

バリーンッ

ガラスが割れる音がした。

第七話 完