複雑・ファジー小説
- Re: 俺様の勇者伝説 第八話 死までの時間 ( No.25 )
- 日時: 2011/07/24 07:47
- 名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)
バリーンッ
ガラスが割れる音がした。
「何事です!?」
「ライヒ様っ不法侵入者です!刀を持っています!
すぐにお逃げに」
「何をやっておるのじゃぁ?」
ドスッ
「なあ゛!?」
突然のことだった。
メイドが現状報告をしていると、銀髪の女が現れた。
そして、メイドを刺した。
刺されている所は急所で、助かりそうもない。
そして銀髪の女は、メイドに刺さっている刀を引き抜き、
血を布で拭いていた。
「不法侵入者とは・・・随分と失礼な小娘じゃのぅ。
私の事をしらんのかえ?最近の小娘は。」
「あなたは・・・。」
「んん?あー主じゃ、主。主が裏切り者じゃな?排除させてもらうわ。
いきなりじゃが、遺言はあるかの?しっとる奴じゃったら言っておいて
やるわ。」
そう喋る銀髪の女は、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる、顔も容姿も綺麗な女だ。
ただ、これが残念な美人というべきか。
喋り方と性格は知っている者は知っているが、かなり残念なのだという。
ちなみに、右目は包帯が巻かれている。
「私はできればここでは死にたくないのですが。」
「ふむ。それが遺言か?それとも、今ここで逃げるのか?」
「(なんか会話がのんき・・・。)おい、クソ婆。ライヒに名前教えてやれよ。死ぬ前に。」
「私が死ぬ事前提ですか・・・。」
若干悲しそうな顔をしたライヒだったが、メリルがボケている内に、
逃げる方法を考える事にした。
「ふむ?じゃあ教えてやろう。
私の名は、ゼロじゃ。格好良いじゃろう?気に入っておるのじゃ。」
そう言うゼロはふふんというように誇らしげにしている。
「というか、主は誰じゃ?小僧。」
「俺か?俺はメリルだ。」
メリルが名前を名乗った瞬間、ゼロの顔つきが変わった。
「・・・?まさか小僧じゃなくて、小娘か!?」
イラッ
「小僧でいいんだよ婆!」
「なんと!女子のような名前しとるから勘違いしてもうた!」
「あんた天然だろ。」
(・・・私、空気ですね・・・。まぁ、そっちのほうがいいですか。
結局、メリルを抱えて窓から逃げる。それか、ゼロさんを倒すしかない
のですが・・・。)
ライヒは先ほどやられたメイドを嫌々ながらも見た。
(・・・勝てる気がしません・・・。ですが、私も足は早かった・・・
はずです。いけますよ、ええ。絶対!)
ライヒが頭の中で何かと格闘しているうちに、ゼロとメリルはいつのまにか友のように仲良くなっていた。
「ゼロも小さな小屋に住んでたのか!?」
「そうじゃ。湖のほとりにあるんじゃ。兄上と一緒に暮らしてたんじゃぞ。メリルもか?」
「うん!クルアと暮らしてたんだぜ!」
ピクッ
ゼロは何かを感じとった。
「今お主、クルアと申したか?」
「そ、そうだけど・・・。知ってるのか?」
「・・・。」
(クルアはもう死んだはずじゃ・・・。何故生きて・・・。)
「ゼロ?」
ゼロが考えていると、何を心配したのか、メリルが話しかけた。
そして、ゼロの髪で三つ編みをしていた。
「なんでもないが、なんじゃこれは?」
これ、というのはもちろん三つ編みのことである。
なんとも不機嫌な顔でメリルを見ている。
「ゼロかわいー」
「・・・。」
当初の目的など忘れて、談笑していたゼロはライヒを斬る気なんて
なくなり、メリルに
「私はもう帰る。」
と言い残し。割った窓から出て行った。
一方ライヒは、自分を斬らずに出て行ったゼロを、不信に
思っていた。
第八話 完