複雑・ファジー小説
- Re: 俺様の勇者伝説 第九話 ああ、胸糞わるい ( No.32 )
- 日時: 2011/06/19 12:37
- 名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)
ああ、だめだ。あの男の顔が忘れられぬ。
ゼロは、ある宿のベッドの上で考え事をしていた。
「ライヒとか言っておったのぅ・・・。
顔はそこそこじゃったし、服装も良いほうじゃった・・・。
って私は何を考えておるのじゃあ!!」
まさかまさかとは思っていたが、ここまでくると重症だと、ゼロは
思った。
「まさか、私が男に惚の字になるとは・・・。」
しかも、あの童顔男に・・・と、自分に悪態をつきため息を吐く。
「たしかやつは資料によると、32じゃ。そして私は・・・。
51・・・。
いや、実年齢の話じゃ!!私の外見年齢はたしか・・・28。」
イケる・・・と思った瞬間だった。
しかし、やはり自分でも信じられないと、ゼロは何故ライヒに惚れたのかを考え出した。
結果・・・
「一目惚れじゃぁ・・・。私は一目惚れしたんじゃ・・・。」
ゼロは顔に手を当て、うわぁぁとベッドの上をゴロゴロと転がった。
「駄目じゃ・・・。たとえ裏切り者でも、殺せぬぅ・・・。」
はぁ・・・と本日何度目かのため息を吐くと、ゼロは今度は眠りだした。
「忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ
忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れ・・・ろ・・・。」
スー・・・スー・・・と、寝息が聞こえ始めた。
私にできる事は殺しだけじゃ。
だから、今ここでお国様専用の殺し屋をしておるのじゃろう?
職を失っても、私は良いのか?
じゃが、私は奴に惚れておるのじゃ!
殺すなんてできぬ!
殺しができなくなっては、どこにもいけなくなるじゃろう?
女らしく、家事も料理もできぬのに、中途半端な乙女心で殺し屋を
やめるのかの?
さぁ、奴を殺せ。
うるさいわ!
家事や料理が出来なくとも、私は、私は人を守る事ができる!
私の力で、ライヒを守れる!
私には殺す術はあっても、守る術はあったか?
今まで、守れたものがあるのか?
なんじゃ、今まで殺した事しかないではないか。
結局、なにもできないんじゃよ。
違う!それは、今まで守る者がいなかったからじゃ!
今は、守るべきものができたのじゃ!!
じゃから、私はできるんじゃ!
それは、いつ決めたんじゃ?
私が勝手に決めたんじゃろう?ライヒは私のような殺ししかできぬ者
など、相手にせぬわ。
早く、殺してしまえ。国の命令じゃ。
違う!
「ぅわ!・・・なんじゃ、夢見が悪いのぅ・・・。」
ゼロは、ベッドの上で目から水をこぼした。
何粒も、何粒も。
第九話 完