複雑・ファジー小説

Re: 俺様の勇者伝説 第十話 あぁ駄目だ ( No.34 )
日時: 2011/06/21 16:24
名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)

あぁ、駄目だ。こんなんじゃ。

体中を赤に染め上げたクルアは、屍の前で立ち尽くしていた
「メリルを守ろうとした、なんて、ただの言い訳じゃねぇか。
俺は・・・俺は、人を殺したんだ。」
そういうクルアの目は、瞳孔は開き、今でも血走っている。

国の王が、役人と数人の兵を連れクルアの家までわざわざ来た。
理由はただ一つ。
メリル。それだけだった。
茶の髪の者がいる、それだけで災いが及ぼされると信じてきた民は、
災いの源を消そうと王までもを連れてきた。

そもそも、なぜ茶の髪の者が災いを及ぼす者となったのか。
それは、この国に大昔から伝えられていたある伝説の話である。

昔、ダビルと呼ばれる青年がいた。
つづりが「devil」(デビル=悪魔)と似ていたため、
よく虐められていた。
だが、ダビル自身はとくに気にしたようすも無く、普通に過ごしていた。
そもそも彼はとても温厚で謙遜な者だったので、仲の良い人たちから
の評判はとてもよかった。

だが、ある事件が起こった。

自分がダビルだと名乗る者が出てき、そして悪業を行うようになった。
それから、偽のダビルはある魔道師によって封印された。
近辺のモンスターの仕業だったらしい。

だが、それは間違いだった。

封印されたのは本物のダビル。
魔道師は、偽のダビルだった。
魔道師の容姿は、茶の髪で身体には黒い印が渦巻いているという。

そして、その魔道師は悪魔として皆から嫌われ、茶の髪の者は悪魔の
僕と信じられてきたという。

クルアは、本当にこのような髪の者がいるのか信じられなかった。
だが、そこでメリルが現れた。
クルアはあの時、赤ん坊を助ける気などさらさら無かった。
ただの興味本位で赤ん坊まで辿り着き、ただの好奇心でここまで
育てあげたのだ。
ただの好奇心だったのに、そのうち情までもがでてきたのだ。
クルアは、我ながらここまで辿り着いたのはすごいと思っている。


あぁ、またなにもなくなる。

またあのときみたくなる。

またあのときみたいにすれば、

だれか助けてくれるのか?

あぁ、駄目だなぁ・・・。


メリル、俺はお前を育てる権利がねぇよ。

日記でさえ、まともにつけられねぇし、

こんな汚れた手で、お前の頭を撫でてやれねぇ。

こんな最低な事をした人間に、ついて来なくていいんだ。

だから、もうさよならだ。

あーあ。

メリルの顔がみてぇなぁ。

・・・見ても、お前はクソ爺って言うだけか。

この「    」が。



クルア 死亡

自殺


第十話 完