複雑・ファジー小説
- Re: 俺様の勇者伝説 第十六話 戻ってきてしまった ( No.97 )
- 日時: 2011/06/29 18:51
- 名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)
「戻った・・・。」
メリルは深いため息を吐いた。
あの後ようやく森についたメリルだったが、結局迷い、
もとの町に戻ってきてしまったのだ。
「ゼロも見つかんねーし、モンスターもいねーし・・・どうなってんだよ!」
そう叫ぶと、懐かしい声が聞こえた。
「おや、メリル。お久しぶりです。モンスターとゼロはどうしましたか?」
「ライヒ・・・!!」
メリルはパァァと生気を取り戻すと、ライヒに向かって言った。
「モンスターもゼロもいねぇんだけど。つーか森で迷って疲れたから休ませて・・・。」
ライヒはため息をつき、冷めた目で言った。
「モンスターにも女性にも逃げられましたか・・・。」
「え、なにそれ辛辣。」
「モンスターは知りませんが、ゼロは居ますよ。」
「!!」
メリルはそう聞いて安心し、
「どこにいるんだ?」
とたずねた。
するとライヒが信じられない事を言い出した。
「死にました。今は、墓に居ます。」
「は?」
「正確には・・・
殺したんですが。」
メリルは目を大きく見開き、ライヒに掴みかかった。
「お前・・・!」
「放してください。私は、子供に構っている時間なんて無いんです。」
先ほどの態度とは大きく違うライヒに、メリルは何も言えなくなった。
「なんで・・・なんで俺の周りはこうなんだよ・・・!
俺が・・・俺が、いるからか?俺は禁忌の子供だからか?ならば俺が、消えれば良いのか?きっとそうだ。クルアも俺と一緒に居たから居なくなったんだ。ゼロもだ。俺と旅なんかしたからだ。俺の・・・おれのせい・・・。」
メリルは目の前が真っ暗になり、ある光景が浮かんだ。
目の前は、血の海。
たくさんの人が腹から血をだし、自分かわからない誰かが、
それを見て呆然としている。
そして、誰かが自分の胸に剣を当て、
「 ?」
何かを言い、
突き刺した。
「っ!」
メリルはハァッハァッと息を荒くしながらも、気を落ち着かせる。
周りを見ると、町ではなく森だった。
だが、ゼロはいない。
行き着いた森で野宿をしていたのだ。
「夢、か・・・。」
メリルはほっと一息すると、先ほどの血の海を思い出す。
「どこかで、見たことがある・・・。俺は、その時いたのか?
・・・いやそんなはずはねぇ・・・はずだ・・・。」
メリルはそんなはずない、そんなはずないと言い聞かせ、また眠りについた。
俺は、おれは、このなかまのかばねをどうやって背負う?
第十六話 完