複雑・ファジー小説

Re: 俺様の勇者伝説 第十七話 記憶 ( No.100 )
日時: 2011/07/02 19:41
名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)

「はぁはぁはぁ・・・っ!」

メリルは走っていた。
ただひたすらに、森の中を。

「誰も・・・誰も死んでいないはずだ・・・!」

だってあれは、夢だったもの・・・!!

ただただ走り抜けると、偶然森の入り口に来た。
「ライヒ・・・ゼロ・・・!!」
見慣れた道を走り抜け、ライヒの屋敷へとメリルは急いだ。

ガチャンッ

メリルは、ライヒの屋敷の扉を乱暴に開けると、ライヒを探した。
「ライヒ!ライヒ!?居るんだろ?おい!!」
すると、また聞きなれた声が聞こえた。
「おや、メリル。お久しぶりです。ゼロはどうしましたか?」
「ライヒ・・・。」
あの夢と同じ台詞だった。
「ゼロに関しては、こっちの台詞なんだけど。」
恐る恐る、言ってみる。
早く、早くゼロが無事かを知りたいといった表情でメリルは言う。
「?私は知りませんが・・・。」
「こっちにきてないのかよ!」
「それだったら貴方に聞いていませんよ。」
「・・・。」
「どうしました?」
何か、何かおかしいと思ったメリルは、ライヒに再度聞く。
「じゃあ・・・モンスター退治の件はどうした?」

「はい?何の話です?モンスターなんて、最近滅多に現れないじゃないですか。」

「は?」
そう、ここだった。

夢では確かに、ライヒはモンスターとゼロはどうしたと聞いていたのだ。

なのに、ゼロだけを聞いてきた。

おかしい。

それが目的で、服や武器を買ったのに。

それが目的で、ゼロと旅をしていたのに。

メリルは、ライヒの屋敷を飛び出して、町へ行く。
そして、掲示板へ行く。
掲示板とは、最近起こったニュースなどを張り出しているものだ。
そこにモンスターが現れ、町を荒らす記事はなかった。
「どうして・・・。」
メリルは混乱する。
(今まで自分は何をしていた?何故こうなった?考えろ、考えろ・・・!!)
だが、結局は子供。
何もすることができない、無力な子供。
ゼロの事も、モンスター絡みの事も、何も情報が入らない。

「大丈夫か?」
メリルが掲示板の前で考えこんでいると、黒髪の男性が話しかけてきた。
「誰だ・・・アンタ・・・。」
メリルが警戒心丸出しで聞くと、男性が呆れた顔をし、
「こんなところで悩んでる子供がいたら、誰でも声かけたくなると思うぜ。9歳児。」
「12だ。」
「・・・失礼。」
もうこのおっさんは放っておこう、とメリルは思ったが一か八か聞いてみる事にした。

「ゼロって女知ってるか?」

第十七話 完