複雑・ファジー小説

Re: 俺様の勇者伝説 第二十五話 後編 お前はこっちだろ ( No.123 )
日時: 2011/07/12 19:59
名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)

「ぐっ・・・ぁ゛あ・・・!!」
ゼロの刀がメリルの腹を掠めた。
「ふんっ。今のは腹に突き刺さっておらぬ。もうへばったか?メリル。」
メリルは腹を押さえながら言う。
「んなわけあるかクソ婆・・・!!」
「威勢がいいのぅ・・・。」
ゼロが目を細めながらそう言うと、メリルが剣を振る。
ゼロは避けた。
「クソッ・・・!」
「こんな攻撃、どんな雑魚でも避けれるわっ!!」
こんどはゼロが攻撃を仕掛けた。

ザッ

メリルは素早く避ける。
二人とも、攻撃を仕掛けは避け、仕掛けは避け、なかなか勝負が終わらない。
観客達も勝負がどうなるか、二人に釘付けだ。

そのとき!

ザシュッ

「ぬぅ・・・!」
メリルの剣が、ゼロの腕を突き抜けた。
「はぁっはぁっはぁっ・・・ゼロ、なんで、目を合わせない・・・。」
ピクッとゼロの身体が動く。
「なん、で、急にいなくなった・・・!!」
ゼロは俯いていた顔を上げた。
「なんで、なんでだよ・・・!また、お前は、クルアみたいにいなくなんのか!?やだよ、やめてくれよ・・・!」
ゼロが顔を上げた先には、子供らしいメリルがいた。
メリルはゼロの腕を突き抜けている剣を放さずに、涙をボロボロと流して、突っかかりながらも言う。

「もう、誰かを失うのはこりごりだ・・・!」

ザッ

ゼロは剣を引き抜いて、言った。
「メリル、聞け。」
「何を・・・。」
「私は、隠れておったんじゃ。」
「は・・・?」
メリルが涙を止めて、目を見開いた。
「私は、゛殺し″というものを達成しておらん。
そしてこれは国からの命じゃ。あの女王の事じゃ。
私の事を殺せという命を、私の双子の姉に下したらしいの。まぁ、どうやら姉は死んだらしいがの。」
(双子の・・・姉・・・?)
メリルはもしやと思いった。ドキドキという胸をとめようとしながらゼロに聞く。
「そいつの・・・そいつの名前は、レイか?」
「・・・もう会ったのか。」
「会ったも何も、アイツは俺が・・・。」

いつの間にかシン・・・とした会場。
司会者は、二人の会話をじっと聞いていた。

「そうか、お前が・・・。」
ゼロはそう言って微笑むと、司会者のほうを向いて言った。

「ぬしよ!私の負けじゃ!メリルの勝ちにしとくれ!」
「な・・・ゼロ!」
「いいんじゃ、メリル。もとは勝手に居なくなった私が悪いんだ。」
「でも・・・!」

—おっと、ゼロから負けの報告がぁ!この勝負、メリルの勝ちだぁ!!—

会場は、盛り上がらない。
ゼロは血が滴る腕を押さえながら、会場を降りていく。
またメリルも、腹を押さえながら会場を降りていった。


王者は、メリルになった。


第二十五話 後編 完