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複雑・ファジー小説
- 俺様の勇者伝説 第二十九話 禁忌の子 ( No.141 )
- 日時: 2011/07/14 20:55
- 名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)
「お前が言っている通り、俺は禁忌の子供らしい。」
「らしい?」
ゼロが怪訝な顔をして言った。
「俺の親、俺を捨てたらしいし、シラネ。10になったときにクルアに教えてもらったんだ。俺が、この国で一番嫌悪される禁忌の子だって。」
シャドウが口を挟んだ。
「だが、その根拠が見当たらないぞ。」
メリルがはぁ・・・とため息を吐くと、腕を組んで怒ったような顔をしながらシャドウを見た。
「俺の髪と、俺の黒い印だ。茶の髪は、お前らのところでは普通なのか?」
「いや・・・。」
「ゼロはちげぇぞ。ただのアルビノだ。この国ではよく居る。そう珍しくない。」
シャドウは納得のいったように、相槌を言う。
「禁忌の子供だったから、友達なんていなかった。」
メリルは糸の切れたように喋り出す。
「学校もいけなかった。
海へいくこともできなかった。
深くて暗い森しか行けなかった。
一人でいることが多かった。
旅へ出ることさえ許されなかった。
人の家へ遊びに行ったことがなかった。
一人で遊んでいた。
俺にはクルアしかいなかった。
クルアは話してくれるけど、遊んではくれなかった。」
そこまで言うとゼロが、
「やめろぉ!」
と叫んだ。
メリルは虚ろな目でゼロを見据えた。
「なにを。」
「!!」
メリルは、はっとなりもう一度ゼロを見た。
「あ・・・ぅ・・・。」
「メリル?」
「っ・・・!!」
ダッ
メリルは逃げた。
ただ宛もなく、なにからも捕まらぬよう。
自分自身がなにから逃げているのか、わからなくなるくらいに。
メリルの背後には、黒い影があった。
第二十九話 完
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