複雑・ファジー小説
- 俺様の勇者伝説 第三十四話 町だと・・・!? ( No.160 )
- 日時: 2011/07/17 20:48
- 名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)
「ここから真っ直ぐ五十メートル行ったところを左斜め四十度に行け。
森から出られる。」
ライシェルが淡々と言った。
「だってよシャドウ。頼む。」
「頼まれた。」
メリルはシャドウの肩に乗っている。
父親と子供のノリか己らは。
「ラク・・・気持ちい・・・。」
「メリル、お前が子供でなければ叩き斬っていた。」
ライシェルが剣をシャキンッとわざと鳴らしながら言った。
メリルの顔は真っ青だ。
「まぁまぁ。ライシェルもそんなに怒ることではないじゃろう?
それに、もしかしたらメリル風邪気味かもしれぬしな。」
「・・・。」
そう、あの後・・・つまり、ライシェルを仲間にした後、大雨が降った。
幸いにも荷物は濡れなかったが、メリルの調子が若干おかしくなったのである。
「っくしゅん!」
「・・・くしゅん、だと・・・!?」
ライシェルが信じられないほど恐ろしい顔でメリルを見ながら呟く。
「(小動物かなにかか!可愛すぎる!いや、だがいまここで愛でても私のイメージが崩れる・・・!)」
ライシェルが一人でもだえていると、メリルが顔を少し赤くしながらライシェルの肩を叩いた。
「なぁ、心の中でなにかと戦っているのは別にいいんだが・・・
俺の頭撫で続けるのやめてくれ・・・。」
「なぁっ!!(いつの間に私はメリルの頭を撫でていた!)」
さすがに恥ずかしいといったかんじで、メリルは赤面しながらそっぽを向いた。
「つぎ撫でたら500銅だせよ・・・。」
「(金とるのか・・・!!)」
貴様は高嶺の花か!というツッコミを抑えながら、ライシェルはまたもだえた。
「あ、森でた。」
メリルがシャドウの肩から降りながら言った。
「しかも町も見える・・・けど、もう夕方だしここで野宿か・・・。」
「じゃあ明日歩けば町じゃな?メリルの風邪薬が買えるのぅ。」
ゼロがそう言うと、メリルの顔が強張る。
そんなメリルを見て、ゼロがニヤリと笑った。
「まさか、薬が飲めないのかぇ?でもそれはないかのぅ。
勇者様じゃからのぅ・・・?」
挑発的にゼロが言うと、ムキになったのか顔を真っ赤にさせてメリルが言う。
「おっ、俺だって薬くらい飲める!」
「(まだまだ可愛いのぅ。)じゃあ、風邪が治っておらぬ場合、町で薬を自分で買って自分で飲むこと!守れるな?勇者なのじゃから。」
ゼロが「お兄ちゃんなんだから、一人で薬を飲めるようにならないとね?」と言っている母親のように言う。
「ガキ扱いすんな!」
メリルは反抗期の子供な反応をした。
—次の日の朝—
「ふぇ・・・。」
メリルの風邪が悪化した。
第三十四話 完