複雑・ファジー小説

俺様の勇者伝説 第三十六話 風邪を治したい ( No.166 )
日時: 2011/07/18 14:28
名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)

「やだ。」
メリルが顔を赤くさせ、ゼロに蔑みを込めた目で言った。
「わがままを言うものではないぞ、メリル。
あと、それは睨むとは言わん。上目遣いと言うのじゃ。」
ゼロがスプーン一杯に薬をすくいながらメリルに言う。
「薬なんて・・・そんな緑な薬なんて・・・いやだぁ!」
メリルが涙目になりながら悲痛な叫びをあげた。
シャドウとライシェルが苦笑している。
ゼロは若干困った顔になると、はぁ・・・とため息を吐き、
「水で薄めるかぇ?量が増えるが。」
と言った。
するとメリルは枕に顔を埋めながら、
「それもやだ・・・。」
と言う。

ここはとある町の宿屋。
風邪をひいたメリルをつれてゼロたちがやってきた頃には、もう夜になっており、薬屋も店を閉める直前だった。

ギリギリ間に合ってしまったが。(byメリル)

「まったくわがままじゃのぅ・・・。」
ゼロがそういうと、別の液体を取り出した。
「シロップと薬を混ぜるのは酷じゃと思ったんじゃが・・・。」
しょうがない、と言ったかんじでシロップと薬(この二つを混ぜ合わせたものをダークマターとも言う)を混ぜようとした。
しかし・・・

ガシッ

「や、やめろぉ・・・。」
ゼロの腕をメリルが掴み、ダークマターの精製を止めた。
「メリル?お前がわがまま言うからシロップと混ぜるのじゃぞ?
メリルが大人しく薬を飲めば、話は別じゃが。」
メリルがぐっと喉を詰まらせる。
「の、のまない・・・おれはのまない・・・。」
「どうしてそんなに嫌なんだ?」
ライシェルが断固として飲まないメリルに向かって言った。
「だってにげぇし・・・それに・・・。」
「それに?」

「くるあがくすりはじんるいにとって、ひつようのないもので、どくみたいなもんだって・・・。」

メリルが淡々と言った。
「・・・クルアとはお前の育て親だったな?そしてもう亡きものだったな?
ならば私は一回死んでクルアを心から鍛えなおしてくる。
止めないでくれ。」
ライシェルが剣を自分の胸にあてながら言った。
「俺も加勢しよう。ゼロ、止めないでくれ・・・。」
「いや、止めるじゃろう!やめんかぁ!大丈夫じゃ、クルアは、


私が生前痛めつけておるから!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

しばらく沈黙が続いた。
そしてゼロ以外が思った。
「「「(ゼロ、お前なにをやった!!)」」」



メリルはその後、食事のおかゆに薬を混ぜられ、そのまま寝た。
(これをショック死とも言う。)
「し、死んじゃだめじゃろうが!」

第三十六話 完