複雑・ファジー小説

俺様の勇者伝説 第三十七話 新しい子登場 ( No.173 )
日時: 2011/07/20 20:15
名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)


「・・・風邪は治った。」
メリルがどんよりとした顔で呟いた。
「そうじゃのぅ。それにしても、私の作った料理で倒れるとは、失礼な奴じゃのぬ。」
ゼロが浮かない顔をしている。
メリルが眉間に皺を寄せながら、ゼロに言う。
「お前が薬を混ぜるからだろ・・・。どうりで変な色していると思った・・・。」
「いや、色でバレると思ったんじゃが、メリルだし大丈夫かのと思ってな♪」
ゼロがニコニコしながら言う。
「・・・なんだそれ。」

シャドウとライシェルは、会話をただひたすらに聞き流していた。

「・・・村だ。」
メリルが見た先には、とてもとても小さな村があった。
「民家も2、3個しかねぇ。村ともいえねぇな。」
「民家、というか宿屋と民家じゃから、正確には民家2に、宿屋1じゃな。」
ゼロが言う。
シャドウがゼロの方を見ながらいった。
「今日はここで一泊するか?」
「そうじゃな。中途半端な時間じゃし、今動いても野宿じゃろう。
ここで一泊しよう。」
ゼロが言うと、ライシェルが若干ほっとしたような顔になる。
「・・・(疲れていたから助かった・・・。)」

メリルは突然現れた村に不信を抱いていた。

「・・・夜の散歩。」
メリルが夜中に起き上がった。
宿を出て、民家のあたりを歩く。

がさがさがさ

音がする。
「・・・。」
メリルが見た先には、男の子がいた。
男の子はメリルに気づかず、近くの森へと入っていった。

次の日の朝。
メリルが全員に伝えた。

午前中はこの村を動かない、皆自由行動をしろ、と。

「・・・あいつを追う・・・。」
メリルが呟くと、すぐに宿を出た。
「・・・メリル?」
ゼロがすぐにいなくなったメリルに気づいた。
「追ってみるかの・・・。」

ゼロはメリルを追った。

「はぁっはぁっはぁっ・・・!」
メリルは走る。
森の中をただひたすらに。
しばらく走ると、滝が現れた。
「すご・・・!」
ふと見ると、滝のすぐ近くに、昨夜の男の子がいた。
「おい。」
「・・・なぁに?」
「お前、さ・・・。」
男の子はニコニコしている。
メリルは決心したように言った。

「混血児、か?」

「・・・ものしりだね。そうだよ、なんで知ってるの?
見た目じゃわかんないはずなんだけど。」
男の子は依然とニコニコしている。
「・・・龍のにおいがした。」
「・・・・・・ふ〜ん。いまどき、そんな子いるんだ。
俺の名前はね、ラク・ミロースだよ。覚えてないと顔面破壊するからね♪」
男の子はそう言うと、風のように消えていった。

「・・・ラク・ミロース。」
胸に刻み付けるようにメリルは数回繰り返すと、宿屋に戻った。
いつの間にか、もう11時だ。
「ラク・ミロース・・・どこかで聞いたことあるのぅ・・・。」

物陰にゼロがいたことは何も言うまい。

4人は身支度をすると、その村を立ち去った。


「・・・あの茶髪の子、面白そうだなぁ・・・。
・・・付いていってみよう♪」
ラク・ミロースは4人を追いかける。
きっと飽きるまで、ずっとずっと追いかけるだろう。


第三十七話 完