複雑・ファジー小説

Re: 俺様の勇者伝説 第四十話 魔王 ( No.192 )
日時: 2011/07/24 19:54
名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)

「魔王を探すって言ったら探すんだぁ!!」

ある町を出て、森の中を歩きながらメリルは駄々をこねた。
「駄目じゃ。」
ゼロがキッパリと断る。

「・・・いい。俺一人でも探して捕まえて売る——じゃねぇや。
仲間にしてくる。」

「今信じられない台詞が聞こえてきたんじゃが。
売るってなんじゃ、売るって。」
ゼロがメリルの発言に無表情でつっこむ。
メリルは頬をむぅと膨らまし、シャドウとライシェルに無言で訴えかけた。
「メリル、さすがの私もこれは聞けない。」
「・・・俺も昨日ゼロにさんざん言われたからな・・・。」
2人が苦笑しながらメリルに言う。
メリルは機嫌を悪くし、本当に行こうとした瞬間・・・!!

「はぁ・・・どうしましょう・・・。」
女性・・・というには少し幼い少女の声が聞こえる。
メリルたち4人は無言で声の聞こえる方へ駆けていった。

「アンタ、なにしてんだ?」
メリルが最初に声をかけた。
「へ・・・?」






〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・







「や〜ありがとうございます!道に迷っていたもので・・・。
助かりました!」

少女はニコニコしながら言った。
「私、アリアっていいます。森を抜けるまで、よろしくお願いします!」
アリアはどうやら家が全壊し、途方にくれてフラフラ散歩(と、いう名の旅)をしていたところ、いつの間にか迷っていたらしい。
目的が一緒のため、メリル達と森を抜けるまで同行することになった。
「俺はメリル。」
「私はゼロじゃ。」
「俺はシャドウだ。」
「私はライシェルだ。よろしくな。」
4人が名前だけ言って紹介を済ませる。
アリアは変わらずニコニコしている。

「アリア、このへんにいる魔王って知ってるか?」

メリルがアリアに聞いた。
アリアは、それなら知ってますよ、と言った。
メリルは目を輝かせた。
「マジか!どこにいるか知っているか!?」
「えぇ、知っていますよ?」
「どこだ!?」
メリルがアリアに掴みかかる勢いで聞く。
アリアはニコニコしたまま答えた。


「私が魔王のアリアで、場所は貴方たちの目の前です。」


依然、アリアはニコニコしていた。
「は・・・?」
メリルの顔が引きつる。
「信じられませんか?
魔王に用があるのでしたら、どうぞ。」
アリアがまだニコニコしながら言う。
メリルはゆっくりと口角を上げ、アリアに言った。

「アリア、お前を仲間にしたい。」

メリルは真っ直ぐとアリアに視線をそむけず言う。
アリアは若干驚いたような顔をして、困った顔をした。

「魔王ですよ?怖くないんですか?」

「怖くない。魔王を仲間にしてみたいんだ。」

「いいんですか?後悔しないですか?」

「後悔なんて誰がするんだよ。天下のメリル様だぞ?」

「私、そんなに強くないですよ?」

「それでも何かできるだろ?道中はモンスターだらけだったんだ。
護身術くらいできるんだろ。」

「一応魔王ですし、人以上には力はありますけど。」

「じゃあ、決定!今日からアリアは俺らの仲間!」

「・・・本当に、いいんですか?」
アリアは俯きながら言った。
メリルは今までにないほどの満面の笑みを浮かべ、アリアに手を差し伸べながら言った。

「来いよ、俺が歓迎してやる。」

アリアは顔を上げて、手を握った。


第四十話 完