複雑・ファジー小説
- 俺様の勇者伝説 第四十三話 大人組 ( No.218 )
- 日時: 2011/07/27 20:06
- 名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)
「さらに迷ったのじゃあ・・・。」
ゼロがどんよりとした顔で呟いた。
ライシェルも、シャドウも若干疲れた顔している。
「・・・む?」
シャドウが何か見つけたのか、顔を上げ、上を見る。
「なにか見つけたのかぇ?シャドウ。」
ゼロが聞く。
シャドウを頷きながら言った。
「洞窟がある。しかも、バカみたいな大きさだ。」
シャドウの見た先は、本当に大きな岩があり、洞窟の穴も広く大きい。
なによりも、洞窟は浅くないようで、近くで見ても洞窟内は暗すぎて見えなかった。
「本当だ・・・入ってみるか?」
ライシェルが興味津々に言った。
「そうじゃな。もしかしたらメリルとアリアが居るかも知れぬ。」
ゼロがワクワクとした表情で言った。
メリルとアリアの為では無さそうだ。
「そうだな。」
ライシェルもワクワクとした表情で言った。
シャドウは呆れながらも、2人についていく。
洞窟内は本当に暗い。
この世の終わりのような暗さだ。
大げさだと思う者も居るだろうが、本当に暗い。
とても、とても、暗いのだ。
3人が少々暗さに怯えながら歩いていると、少女の声が聞こえる。
「・・・ま・・・う・・・。」
「な、なななななななんじゃ?ラ、ララララライシェルよ。」
「私は何も言っていないが・・・。」
あきらかにビクビクしているゼロに、ライシェルは呆れたように応えた。
「じゃ、じゃじゃじゃじゃじゃあ!い、いいいいい今の声は!?」
「うざいぞ、ゼロ。」
ゼロが怯えていると、少女の正体が見えてくる。
「どうしましょう〜・・・!」
縄でぐるぐるにされていた、アリアだった。
「ア、アリア・・・だと・・・!?」
ゼロが驚いたように言った。
アリアも、突然現れた大人達に驚き、ピクリと身体を震わせる。
「ゼ、ゼロさん・・・?」
アリア、ゼロ、ライシェル、シャドウ、合流成功。残るはメリル。
「あ〜やべぇ・・・血、落とせねぇ・・・。」
メリルは血まみれな服を乾かしたあと、もう一度服を洗っていた。
「ゼロに怒られる・・・。いや、もともとこんなだった、って言えばいいか?
いやでも・・・無理だろ・・・。」
メリルが言いながら服をバサッと広げる。
ところどころ赤い染みがあり、消えそうもない。
「あ〜・・・やばいってぇ・・・。」
メリルは血に染まった剣を川で洗いながら、呟いた。
「何故、アリアはあんなところにいたんじゃ?」
洞窟を戻りながら、ゼロが言った。
アリアは恥ずかしそうに、顔を俯かせると、こう言った。
「じ、実は、私が武器を出すのにもたついていたら、モンスターに捕まってしまって・・・。
縄でぐるぐるにされちゃったんです。
ナニが目的だったかは、わからないんですけど・・・。」
「ほ、本当か!?」
「本当です。本当と書いて、マジと読むんですよ。」
アリアが若干胸を張りながら言った。
「メリルは?」
「わ、わからないです・・・。」
さっきまで胸を張っていたのが、急にシュンとなる。
本当にメリルの事はわからないようだ。
「メリルは、どうしたんじゃ・・・?」
メリルと会うまで、あと———。
第四十三話 完