複雑・ファジー小説
- 俺様の勇者伝説 第四十五話 混乱 ( No.235 )
- 日時: 2011/07/30 12:58
- 名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)
「はぁ?なんのことだよ。」
メリルの口から紡がれた言葉。
ドクンッドクンッと心臓がうるさく脈をうつ。
「な、なにを・・・!」
ゼロが何かを言う前に、何かの気配がメリルの後ろを過ぎる。
「っ・・・!メリルッ!」
ゼロが手を伸ばした先は、メリルではなく青い髪の少年。
「メリ・・・ル・・・?」
「ごめんな、俺、メリルじゃねぇんだ。」
そう言った少年は、ケラケラとアリア、シャドウ、ライシェル、ゼロを見ながら笑う。
「なら、メリルさんはどこに行ったんですか?」
アリアが珍しく殺気立てて少年に聞く。
「んー?あの子の力が膨大だからちょっと貰おうかなーって。
場所は教えないよ?そしたら助けちゃうでしょ?
とりあえず君らは、この子達の相手でもしててよ。」
少年はそう言って、消えた。
少年が消えてから先はモンスターばかり。
「厄介なものを残してくれたな・・・!」
ライシェルが呟く。
するとシャドウがすっと前に出た。
「俺がやる。お前ら3人でメリルを探せ。」
シャドウはそういうと、ジョジョ顔になって冷静さの欠片もないような動きを見せて、モンスターを倒していく。
「シャドウがやってくれておる!行こう!」
ゼロが指揮をとり、2人を連れメリルらしい匂いをたどる。
「・・・匂いが途切れた。」
ゼロが呟いた。
そこは大きな川。
すぐ近くの木には、血痕らしきものがたくさんついている。
そして木の下には———。
「メリルの・・・マント?」
それは、先ほどの少年が持っていた服ではなく、なんの意味もなくメリルの肩に掛けられていたマント。
「もしかして、メリルさんはずっとここに・・・?」
「川で途絶えておるという事は、川に流されて——。」
気づけばライシェルは川の向こう岸を見ながら眉間に皺を寄せていた。
ゼロも気づき、顔をしかめる。
「あの・・・なにかあったんですか?」
アリアが不思議そうに聞いた。
ライシェルとゼロは無言で頷き、戦闘態勢に移った。
アリアも何か勘付いたのか、武器を探す。
「・・・気づいた?」
そこには、銀髪に金の眼の少年、ラクだった。
「・・・混血児。」
ゼロが呟いた。
「あ、お姉さん、やっぱりあの時いたんだぁ。」
ラクはケラケラと笑う。
「そこのピンクのお姉さんと、青いお姉さん。
はじめまして、俺はラク・ミロース。覚えないと顔面破壊するよ♪」
ラクがそう言うと、ライシェルは顔をしかめながら睨みつける。
ラクはまた笑う。
そして、こう続けた。
「ねぇ、メリルの居場所、知りたくなぁい?」
第四十五話 完