複雑・ファジー小説
- 俺様の勇者伝説 第四十八話 ぎゅむっ ( No.275 )
- 日時: 2011/08/04 11:07
- 名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)
血しぶきが———。
「あぁぁああいたいっ!いたいよいたいいたいいたいイタイイタイイタイッ!!!!!!!」
青年の腹が赤に染まる。
「・・・だぁれ?」
青年が見た先は、メリルでも、ライヒでもない。
「シャドウ・グレイフォスだ。」
シャドウだった。
「大丈夫か、メリル。」
シャドウがメリルとライヒに手を差し伸べる。
「なんで、ここに・・・!」
メリルが涙目に言うと、シャドウは無表情に言った。
「モンスターをフルボッコにしたら場所を教えてくれてな。
・・・助けに来た。それとそこの・・・。」
「ライヒです。助けてくれてありがとうございます。」
ライヒがそう言うと、青年の方を見る。
「まずは彼を片付けましょう。」
「あぁ。」
「いくぜ。」
「・・・かれ?」
青年は、ライヒの彼という単語に反応した。
「・・・しつれいきまわりない。」
青年はそう言うとトコトコとライヒの前まで歩いていく。
そしてライヒの腕を掴むと、自分の胸まで持っていった。
「でぃーはあるっ!!」
ぎゅむっ
胸が、あった。
本人はDといっているが、おそらくCどまりだろう。
いままでマントの上の部分だけ取れておらず、分からなかったが、
青年は女性だった。
そして女性との免疫がないライヒの顔は真っ赤である。
「いつまでさわってる。へんたい。それよりしょうぶ。」
3人とも戦う気力もない。
「・・・そうだ、おれのなまえ。おれはダウト。・・・おまえは?」
ダウトはちょっとしたおバカだった。
カツッカツッカツッ
階段を降りる音だけが木霊する。
「・・・ここだね。」
ラクが立ち止まる。
そこには重そうで暗い大きな扉があった。
「もしかしたら修羅場中かもしんないけど、気にしなくていいと思うよ♪何か聞きたいことある?俺のこと以外で。」
ラクがそう言うと、3人とも首をふる。
「無いですよ。」
「無い。」
「ありんせん。」
ラクはニッコリと笑うと、扉を開けた。
「パーティのはじまりだよ!」
同時刻———。
「なぁ、知ってるか?」
そこはある町の小さな酒場。
「なにをだよ。」
「人を甦らせる機械を国が作ったっつー話だよ。」
「はぁ?なんだそりゃぁ。」
「マジなんだって。」
「まぁ、マジだったら凄いかもな。」
「だろ?」
「その話、本当だよ。」
男性が呟いた。
男性は、黒い瞳に黒い髪。
その黒い髪を一つ縛りにしている。
「だって俺、甦らされた人間だから。」
男性が呟いた。
第四十八話 完