複雑・ファジー小説

俺様の勇者伝説 第五十話 扉を開けた先は ( No.295 )
日時: 2011/08/05 15:42
名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)


「は・・・?」

扉を開けた先は、漆黒の髪と瞳をもつ、よく知った人物——。

「クルア・・・?」
メリルは信じられない衝動と、悲しさと嬉しさが身体中を駆け巡る。
「クルアじゃと・・・?」
ゼロの目が光る。
瞳孔が開き、今にも襲い掛からん勢いだ。
「・・・貴方は、もう・・・。」
ライヒがクルアらしき人物を睨みつける。
「クルア?クルアか?なぁ、返事しろよ。
やっぱり生きてたんだな?そうなんだな?

なんか、言えよ・・・っ!!」
メリルが涙目になりながら言った。
クルアらしき人物はニコリと笑う。

そして。

「ごめんな、メリル、ゼロ。」

刹那———。

「あ゛・・・?」

ザシュッ

メリルの腹が紅に染まっていく。
腹を貫くのは、クルアらしき人物が持っている銀の刃。
ドクドクと脈を打つ身体は次第に意識を遠のかしていく。

「クルアじゃ・・・ない・・・。」
メリルが遠のく意識をなんとか浮上させながら呟いた。
「いいや、俺はクルアだ。」
「クルアは考える脳はなくとも、こんな事をする阿呆ではない!
私が知っておる!!」
ゼロが叫ぶ。

「ゼロ、うるせぇぞ。」

クルアがそう言って、メリルの腹を貫いていた刃を引き抜く。
「う・・・あ゛っ!!」
そして、ゼロに向かっていく。
「(早いっ!!)」
ゼロは思うが内心少し微笑む。
「(じゃが・・・弱いっ!!)」
ゼロが剣を引き抜き振り下ろした。
だが・・・。

「俺が本気でやっているとでも思った?ゼロ。」

その声は正面からではなく、後ろから。
「なっ・・・!!」
「さよなら。」

ザシュッ

ゼロの片腕をその銀の刃で貫く。
「さすがのゼロも、出血多量で死ぬよな?

・・・俺は、クルア。

クルア・———・・・。」

「(あ・・・もぅ・・・無理・・・。)」

メリルはついに意識を手放した。

「メリル・・・っ!!!」
「ゼロさんっ!!」
アリアが叫ぶ。
「メリル・・・?おい、メリル!?」
ライシェルは珍しく取り乱した。
「落ち着け、生きている。とりあえず止血する。
アリア、手伝え。

後の奴は・・・。」
シャドウが指揮をとる。
するとラクが笑いながら言う。

「あっはっはっはっは!!
言われなくてもわかるよ!
アイツを追っ払うか、倒せばいいんでしょ?
ほら、紫のお兄さんも手伝って?
白いお姉さんも、何つったってんの?
ピンクのお姉さん、落ち着いて?

さぁ、楽しい楽しい殺し合いだよ!!」

ラクはまた笑う。

「殺し合い・・・いい響きだ。4人でかかるのか?いいぞ、いくらでもこい。」
クルアが言った。
「よろしい・・・やってやろうじゃないか、男よ。」
ライシェルが剣を構え、蛇のように睨みつける。
「おれのトモダチを・・・ゆ る さ な い。」
ダウトは前髪をしばって、目を爛々とし、腕に最大限の力を込める。
「私はそこまで強くありませんが・・・やりましょうか。」
ライヒはため息を吐きながらも、拳銃を構える。
「よぉし、いこうか!」
ラクは楽しそうに笑う。

「それじゃあ、殺し合いだ。」





さぁ、最初に紅に染まるのは誰?





第五十話 完