複雑・ファジー小説
- 俺様の勇者伝説 第五十一話 会いに来たんだ ( No.304 )
- 日時: 2011/08/07 05:52
- 名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)
「さぁ、殺し合いだ。」
そう言ったクルアの目は、本気だった。
特に剣の構えもせずに立っているクルアに、4人は警戒する。
「いくぞ・・・!!」
クルアがそう言った瞬間、
ザシュッ
「あ・・・?」
ダウトが気づいた頃には、もう遅かった。
「血、だ。おれのはらから血がでてる。いた・・・い・・・。」
ダウトが倒れた。
他3人がダウトを見る。
「あれ、白いお姉さん大丈夫?・・・ヒール・・・。」
ラクは回復魔法を使った。
「ん・・・。ありがとう、こども。」
ダウトが起き上がって、ラクに言った。
ラクはいつものようには笑わず、無表情に言った。
「ううん。それより、また来る。
アイツの攻撃は一撃が強すぎる。白いお姉さん、気をつけて。」
ラクが珍しく真面目に言うと、ダウトが吹いた。
「ふふっ・・・おれは、だいじょうぶ。それより、じぶんのしんぱい。」
「俺なら・・・大丈夫さ。」
ラクがそう言うと、ラクの身体が若干光を纏った。
「ら、ラク・・・か・・・?」
そこには、16歳くらいの青年が。
「よし、俺、本気だしちゃいうぞ☆」
ラクが言った。
「行くぞ?」
クルアがニッコリと笑いながら言った。
クルアの一撃がライシェルに向かって来る。
だがライシェルは寸前で避けて、攻撃の態勢に移る。
その前にまた一撃が来た。
そこにライヒの援護射撃が放たれる。
クルアは剣で跳ね返した。
もう一発打つと、当たったがそんなにダメージは無さそうだ。
ラクがクルアの腕を狙い弓を引いた。
だがあたらない。
ライシェルがまた攻撃の隙を見る。
ライシェルは剣を突き刺すように攻撃する。
クルアの右腕を貫いた。。
「ぅ・・・ぐっ!!」
クルアは初めて余裕の表情を消した。
「はぁ・・・やるな、ガキ共。」
クルアはそう言って、また攻撃に移る。
「まっ・・・待て!」
ライシェルが言う。
「貴様・・・クルア、と言ったか?何故私達を狙う?
怨みを買った覚えはないが。」
ライシェルがそう言うと、クルアはその場に座った。
「会いに来たんだ。」
「・・・誰に?」
ラクが睨みつけるようにクルアを見つめる。
「もちろん、俺がだいっじに育てたメリルにさ。」
「・・・・・・じゃあ、なんでさした?」
ダウトが眉間に皺を寄せながらクルアに聞く。
「・・・それは残念ながら言えないな。
まぁ、とりあえず俺はメリルに怨みはないよ。
だって・・・メリルだぞ?俺の可愛い可愛いメリルだぞ?
怨みなんて、あるものか。」
そう言って笑ったクルアの顔は切なかった。
「クルア、さん。貴方は、死んだのでは?」
ライヒが真っ直ぐ目を見つめながらクルアに聞いた。
するとクルア糸が切れたかのように笑い出した。
「うん、死んだよ。俺はメリルを守って死んだんだ。」
クルアが言う。
「死んだ、って言ってるのに、なんで今ここにいるの?」
ラクが言う。
「人が蘇るとでも?」
ライシェルがそう言うと、クルアがまた笑い出した。
「な、なにがおかしい!」
「いいや、おかしくない。
・・・俺は、蘇った人間だ。」
第五十一話 完