複雑・ファジー小説
- 俺様の勇者伝説 第五十二話 息子であり弟であり家族である ( No.311 )
- 日時: 2011/08/08 06:17
- 名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)
「・・・は?」
沈黙が続いた。
4人がクルアと戦っていた頃・・・。
「メリルさんの怪我が深すぎます・・・!!」
アリアは魔力が限界だったのか、回復魔法を使う手を一度止めた。
「大丈夫か?アリア。」
シャドウが心配そうにアリアを見る。
「魔力限界です・・・もう魔法はしばらく使えません・・・。」
アリアがどうしようと言わんばかりに俯きながら呟く。
「ゼロは終わった。俺がやろう。大半は終わっているのだろう?」
シャドウが言う。
アリアは頷きながら答える。
「終わってます、けど・・・。」
「けど、どうした?」
「・・・おなかの印の部分の怪我、治らないんです。
そこだけ集中的にやっても、回復魔法が全然効かなくって・・・。」
アリアが涙声になりながら呟いた。
服の袖を握り締めながら、その目にたまった涙は落とさないようにしている。
「・・・・・・俺がやってみよう。」
シャドウが試しにやってみると、たしかに腹の黒い印の部分の傷は治る気配がない。
「どうしたものか・・・。」
2人が困っていると、小さな呻き声が聞こえる。
「ぅ・・・ん・・・?」
「ゼロさん!もう起きたんですか!?」
アリアがすぐさま反応した。
「う・・・すまぬな・・・面倒を、かけた・・・のじゃ・・・。」
そう言うゼロは目を半開きにして、すごく眠そうにしていた。
「・・・まだ寝てるか?」
ゼロの様子を見て、シャドウが苦笑しながら言う。
「だ、大丈夫なのじゃ・・・。だいぶ冴えてきた・・・。」
ゼロが呟く。
そしてキョロキョロと周りを見渡すと、すぐにメリルを見つけた。
「なんじゃ、メリルの傷を治しておったのかぇ?
どうせ、腹の黒い印部分が治せずに困っておったんじゃろう?」
ゼロがニヤつきながらそう言うと、シャドウはウザいと思いながら頷く。
「私は出来るから、メリルをよこすのじゃ☆」
心底ウザい。
シャドウは思った。
「人が蘇る?そんな馬鹿みたいなこと、出来るわけないじゃない。」
ラクは嘲笑を込めて言った。
「いいや、出来る。現に俺が蘇っているし。」
クルアにこっと笑いながら言った。
「俺はな、メリルを守りたくて戦ったんだ。
そしたらいつのまにか血の海にいてよ、こんな汚れた俺が、汚れを知らない子供を守れるのか?・・・って。
俺はな、自殺だったんだよ。
俺が自分で自殺したのに、人っておかしいよな。
会いたくなったんだ、メリルに。
血は繋がっていなくとも、メリルは息子であり弟であり家族だ。
・・・やっぱ会いたいわけよ。」
クルアが喋り終わると、ライシェルとラクが無言でクルアに近づいてきた。
「・・・?」
クルアが不思議そうな顔をしていると、ライシェルとラクは手を振り上げ、
クルアの頬を、
叩いた。
バシーーンッ!
痛そうな音が鳴る。
「・・・ここでアレか?「父ちゃんにも殴られたことないのに!」
って言えばいいのか?」
「それは違うアニメかなんかで言え。」
「・・・メリルが愛おしい存在なのは、よくわかった。」
ライシェルがクルアを見ながら言う。
「だが、じゃあ、なんでメリルを刺した!?
貴様、メリルの親であり兄であり、家族なのだろう!?
ならば、何故!答えろ、クルア!!!」
場の空気が一変した———。
第五十二話 完