複雑・ファジー小説

俺様の勇者伝説  第五十三話 言わなくちゃ、わからねぇか? ( No.322 )
日時: 2011/08/11 21:06
名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)


「私は出来るから、メリルをよこすのじゃ☆」

そう言ったゼロに、シャドウは心底ウザいと思いながらも、メリルをゼロによこした。
ゼロは、メリルの腹に自分の手を置き目を閉じた。
「・・・黒キ悪魔ヨ、ソノ身ヲ起コシ、自ラヲ癒セ・・・。」
まるで呪文のようにゼロはそれを数回言うと、傷はみるみる塞がっていく。
「凄い・・・!」
アリアが呟いた。
「う・・・。」
メリルが小さく声を漏らす。
そしてついに起き上がった。

「・・・クルア・・・クルアはー・・・?」

目を半開きにしてクルアと繰り返すところを見ると、親を探している子供のようだが、呼んでいる相手が悪い気がする。
「・・・あ、俺クルアに斬られて・・・ん?え?は?」
自問自答して混乱しているメリルを見てアリアが、

「大丈夫ですか?」

と言う。
「・・・うー・・・。」

子供だ。手を上げてだっこしてのポーズしている。
「え?えーっと・・・どうすればいいですか?」
困ったように苦笑したアリアは、ゼロとシャドウの方を見る。
ゼロはアリアに近づいて、自信満々に言った。
「だっこしてやれば喜ぶのじゃ。私がやろう。」
ゼロがそう言うと、メリルを軽々と抱き上げた。

「・・・はっ!俺は何を!うわ、ゼロ降ろせ!気色わりぃ!」

するとメリルは目をぱっちりと開け、自身を抱き上げているゼロを見ると途端に嫌そうな顔をした。
「・・・失礼な奴じゃのう・・・。
いつもならゲンコツじゃが、今はそんなことをしている暇はない。
アリア、シャドウ。他4人はクルアと戦っておるのじゃろう?
加勢にゆくぞ。メリルも・・・。」
ゼロがメリルも来るように促すと、メリルは一瞬悲しげな表情を浮べると、すぐに顔をキリッとさせ、

「うん。」

と答えた。

















ゼロがメリルの治療を始めた同時刻—。

「・・・それは、俺にもわからない。」
クルアが呟く。
「わからないって何?操られていたとでも言うの?」
ラクがそういうと、クルアがまた首を振って、
「わからない。」
と呟いた。
「わからないで済まされる問題か!?」
ライシェルがそうクルアに言うと、クルアはまた呟く。

「うん、わからない。メリルを見た瞬間、なんというか、こう・・・真っ暗になったんだ。
そんで・・・えーっと・・・いつの間にかメリルが真っ赤で・・・真っ赤、真っ赤・・・真っ黒で・・・ゼロが・・・。」

クルアは壊れたように真っ赤、真っ黒と繰り返す。
「・・・機械。」
ラクが呟いた。
それに反応して、ライヒとダウトとライシェルがラクを見た。
「これ、人間じゃない。機械だ。」



第五十三話 完