複雑・ファジー小説
- 俺様の勇者伝説 第五十六話 壊す ( No.346 )
- 日時: 2011/08/23 15:08
- 名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)
ガシャンッ——。
クルア「だった」機械はスクラップとなってその場で崩れた。
「壊れたね!ガシャンッて。私この瞬間が好き!大好き!綺麗、綺麗ね!!」
少女は嬉しそうに言いながらメリルたちに近寄る。
「でも私、人間のほうが好き!だって・・・。」
少女は近くに居たシャドウに向けて手を伸ばす。
「血が綺麗でしょう?」
その手から黒く禍々しい渦が出来てシャドウを襲う。
「!?」
シャドウは突然の出来事に驚きながら避ける。
若干掠ったのか頬を血がつたった。
「何を・・・。」
「あら避けたの?壊れてないの?「私の玩具」、まだ壊れてない?なんで?壊れてよ。あの機械と同じになってよ。ねぇ壊れてよ。」
少女が淡々と言う。
「俺はお前の「玩具」ではない。」
「今日から貴方は「私の玩具」なのよ?」
「拒否する。」
「私が決めたの。貴方はすぐに壊れそうだと思ったから。」
少女は不機嫌そうだった顔をやめ、顔が裂けそうなくらい口元で弧を描きながらいった。
「玩具を自分で壊すのか?」
シャドウがそう言うと少女はまた不機嫌そうな顔に戻った。
「それが楽しいけれど、貴方はつまらない。
ねぇ、そこの銀髪の子、壊れてくれる?」
目線の先はラク。
「んー・・・君が先に壊れてくれたらいいけど?」
ラクはニコニコしながら言った。
少女は不機嫌そうな顔を更に歪ませた。
「なめた口利いてくれるのね。」
「当たり前。君、実年齢はかなりいってるでしょ?
俺、「オバサン」には興味ないんだよねー。」
ラクがケラケラと笑いながら言う。
「貴様・・・!」
少女はラクに襲い掛かった。
「おいラク!後ろ・・・!」
シャドウが言った。ラクの後ろには剣を持った人影。
「あぁ知ってる。でも、俺がやる必要ないし。
ね?メリル。」
「ったりめぇだ!!」
ガキィンッ!
メリルの剣と相手の剣とがぶつかり合う。
「君はだれ?」
ラクが襲ってくる少女に向けて言う。
「うるさい!貴様に教える義理など・・・無い!」
そう言って叫ぶ少女の手の中から、突然銃が現れた。
「!?」
「さぁ、コレで壊れなさい。壊れて貴方も私のコレクション。あははははははははは!血!血!楽しみね!楽しみね!!」
少女が言う。
その少女の笑い声だけがその空間で響いた。
「ねぇ、08。貴方はその茶髪の子を壊すの?
私はやる気が起きないから、さっさと壊してよ。」
少女がメリルと相手をしている人に話しかけた。
「<茶髪の子供は><まだ生かせ><と><命令がきています。>」
女性の声だった。
だが喋り方が滑らかではなかった。
まるで・・・壊れたクルアのような「機械音」。
「そう。じゃあ「08」は茶髪とピンクと赤目と紫をやって?
私は銀と白と黒と藍色をやる!」
少女は楽しそうに言った。
「<御意。>」
「赤目とは私の事かぇ?」
「まさか紫とは私の事ですか。」
「ピンクとは・・・せめて金目と言え。」
「茶髪って俺か?」
ゼロ、ライヒ、ライシェル、メリルが言う。
少女はニッコリと笑って言った。
「うん、壊しても面白くなさそうだから!」
「(ここでキレたら終わる。ここでキレたら終わる・・・。)」
メリルは密かに暗示をしていた。
「さぁ、みんな壊してあげるね!!」
戦いの火蓋が落とされた——。
第五十六話 完