複雑・ファジー小説
- 俺様の勇者伝説 第五十九話 面倒くさいのは嫌いなの ( No.356 )
- 日時: 2011/08/29 06:05
- 名前: ミロカロス13 (ID: VYCQ1KaR)
ドガッ———ッ。
アリスは一体何があったのか理解していないだろう。
何故か。
それはラクがニコリと笑ってこちらを見てきたまでの記憶しか思い出せないからだ。
「え?なに?なんで、血?え?」
出血と痛みに混乱しながら必死に小さい脳で全てを理解しようとする。
だが整理がつく頃にはラクはすでに次の攻撃をはじめていた。
「一発で堕ちてよ♪」
一瞬、龍の姿が見えた。
「——————!!!!」
08は後ろから迫ってくる恐怖と、いずれ訪れるであろう痛みに焦っていた。
自分は機械だから大丈夫、というわけではないようだ。
「<そんな><ことを><しては><・・・!!!!>」
内部にある私の核が壊れて爆破してしまう・・・!
「終わりだ。」
ライシェルが言った。
08はもう終わりかと、膝をつけ項垂れている。
「<そんな><ことを><すれば><貴方たちも><死んで><しまう><・・・!>」
08は静かに言った。
「なんじゃと・・・!?」
ゼロが驚きの声を上げる。
08の後ろにいたライシェルも目を大きく見開き、剣を降ろした。
「<私><だけじゃ><ありません。><アリス様><も><です。>」
「俺、面倒くさいの嫌いなんだぁー♪一発でいけると思ったけど、甘くみちゃった♪」
そこにはいつもの子供らしい笑顔は無かった。
瞬時に変わる等身。
鋭くなる目付き。
男性らしい喉仏。
「うん、やっぱり俺は俺じゃなくちゃー♪」
16歳のラクだ。だがやはり喋り方は依然と同じくおちゃらけていて緊張感が無い。
「それで・・・アリスだっけ?とりあえずウザいからさっさと機械になってよ。ガチャガチャうるさい。」
ラクがそう言うと、アリスは目を大きく見開いた。
「なんで・・・!」
「言ったじゃん。「ガチャガチャうるさい」って。」
ニコリと♪がつきそうな笑顔で言うと、アリスは、
ガタッ
と膝をついた。
「あは・・・あはは・・・あははははは!それが・・・それが混血児の力なのかしら!?すごい、すごいわね!その力ほしい!!!」
アリスは狂ったように笑い出し、ラクは不機嫌そうな顔になった。
「つーか俺空気じゃねぇ・・・?」
メリルは混乱しているのかつまらないことを口走った。
第五十九話 完