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複雑・ファジー小説
- Re: 【短編】 Dreamer 【物語】 ( No.1 )
- 日時: 2011/06/23 10:01
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
[ それは蒸し暑い雨の日 ]
今日は雨の日だ。と言うより梅雨真っ最中である。
こんな土砂降りの日に嬉々とする筈も無く、僕はただ降り続く雨を、どこにでもありそうな普通のアパート——所謂僕の家から眺めていた。
僕は梅雨が大嫌いである。濡れるし暑いしベタベタするし。いい事など一つもない。あってたまるものか。
「兄ちゃーん、ご飯できたよ」
「おお、やっとか」
中学二年生の妹がポニーテールをわっさわっさと揺らし、駆け足で来た。僕はテーブルを見ると豪華な食事がテーブルの上に乗っていた……なんて事は無く、妹の声はただ「ご飯できたから運んでよ」って言う事であり、そもそも僕の妹は僕の妄想通りの兄思いではなかった。
「いただきます」
と、二人声と手を合わせて言う。挨拶は大事だ皆。
目の前にあるテレビを付けずに黙々とご飯を食していると、妹の方から話を切り出した。
「蒸し暑いねー」
「ん、本当に」
妹も同じ事を思っていた様だ。どうして雨なんてものがあるのだ。全く理解不能、理解しようとも僕は思わない。
「てるてる坊主作るか」
「おー、じゃあ扇風機に吊るせ。きっと風もいい感じになるはず」
「おー」
ご飯を食べてごちそうさマウスと魔法の言葉を唱えた後に、てるてる坊主製作は行われた。と言っても二、三枚程のティッシュを丸めて、その上からまたティッシュを被せ、ゴムで縛ると言う簡単な作業だ。ティッシュの無駄遣いだろうか。
五分程度の時間を要したてるてる坊主は扇風機の穴の方にしっかりと二つ吊るされている。扇風機を付けたら、そのてるてる坊主達は、とてつもない風を受けて揺れていた。まさか明日暴風域ではないよな。
そして数時間後僕は就寝した訳なのだが、何だこの景色は。
昨日よりも、土砂降りじゃないか。
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