複雑・ファジー小説
- Re: ゴッド・コードウルフ。 ( No.17 )
- 日時: 2011/07/10 09:53
- 名前: 龍宮ココロ (ID: 6xS.mLQu)
- 参照: http://yaplog.jp/yukimura1827/
「あー…くそっ…」
再挑戦して二十回目なのだが、全部連敗を喫している俺。
マジではまるなこのゲーム、やっぱり一勝位勝ちたいな。
そう思ってもう一回と挑戦しようとした時、ドアが開いたのに気付いて振り向くと—— 嫌な奴がいた。
「—— ゲッ…、最悪」
「…何が“ゲッ…、最悪”だ。本当に脳みそ無いんじゃねぇのか、ちびっ子?」
俺は少しカチンと頭にきた。
赤髪でセンター分け、後ろ髪を結び自衛隊の服を着た俺の大っ嫌いな奴—— 『神園 紅真』に。
こいつ、『神園 紅真』は俺と同じ幹部の一人だけども口はうるさいし筋肉馬鹿だし俺を「馬鹿扱い」してくる。
腕は確かに良いけどな、武器の扱いの。
あ、あとこいつ何故か—— 巡兄と仲が良いし。
何で仲良いんだよって正直俺、思うんだけど。
まぁ、そんなのは置いといて。
カチンと来た俺は少し口を開いた。
「最悪なのは最悪なんだよ、筋肉馬鹿のおじさん。日本語も分らないのか?」
「おうおう、なんだ俺と殺るってのか? そして筋肉馬鹿じゃねぇよ、言うんだったら俺よりも強くなれっての。そして俺は元自衛隊だから英語とか分るし。逆にお前が分らないんじゃねぇのか、この—— チャラ男が」
バチバチと怒りの火花が散る。
本当にこいつムカつく、俺を侮辱しやがった。
あいつは年上だけど本当、我慢出来ないほどムカつく。
もういっそ殺しちゃおうかなって思っていたら——。
「あ、あの…や、止めて下さい喧嘩は…」
オドオドとした感じで巡兄が言った。
さっきまで着けていたヘッドホンは外して。
オドオドした巡兄の声にこいつは反応する。
「巡斗、お前来てたのか」
「は、はい !!」
少しビクッとしてから巡兄は少し大きな声で返す。
俺の嫌いなこいつは少し巡兄を見て口を開いた。
「…巡斗、さっきまでゲームしていただろ?」
「……」
ギクッと巡兄は冷や汗を流して黙る。
その姿を見てこいつはため息を付けた。
「…ハァ、ゲームなんかやらなくていいって言っているだろ巡斗。…ゲーム没収した後—— 甘い物も無しにしちゃうぞ?」
「—— !ご、ごめんなさい紅真さん… !!ぼ、没収…しないで下さい…」
シュンと巡兄は落ち込む。
「…オイ筋肉馬鹿おじさん、巡兄をあまり虐めるなよ? 可哀想じゃん」
俺のその言葉を聞いたこいつは俺を睨んで「何処が虐めているように見えるんだ、この阿保」と言い返してきやがった。
…うわぁ、マジ最悪。
絶対こいつを早死にさせてやりたいほどだ。
その俺の嫌いなこいつは俺を差し控えて巡兄の頭にポンと手を置いた。
「悪かったなら次から直せ。ほら、クッキー買って来たからよ」
「—— !!は、はい。ありがとう…ございます…」
巡兄は許しをこえたのに凄く喜んでいる。
…というか、どう見てもお前等『ホモ』じゃないのか?
だって、今の巡兄…どう見ても恋する乙女っぽいんだけど…。
少し二人のやり取りにちょっと俺は引いた。
その引いている俺をジッとあいつが見てくる。
「…お前、なんか変に思っているだろ」
少しギクッとしながらも俺は言葉を返す。
「…別に? ただ、なんかこの空気が嫌だなって思って…」
アハハハ、と苦笑交じりで笑う俺をもっと睨んで—— ぶち切れた。
「この阿保、思いっきり思ってんじゃねぇか !!『ホモ』なんじゃねぇかとか思ったんだろう !!」
「え、何で分ったんだよ !?」
「俺は『ホモ』じゃねぇって言っているだろうが !!ここで果てやがれっ !!」
「——っ !!」
俺の嫌いなあいつは何処からかサバイバルナイフを取り出して襲い掛かって来た。
しまった、言い過ぎた !!
うわー…ヤバイよ、ヤバイよ !!
俺、マジで命が惜しいんですけど !!
こんな時に俺、学校あったから何も持ってねぇよ !!
ダラダラと出てくる冷や汗が止まらなくて俺はすぐに防御の構えをするけれど、俺の防御じゃあいつの攻撃を止められない位近付いて来たその時——。
「——まったく、何をやっているんだ? …幹部同士で」
「—— !!」
「—— この声っ !!」
バッと声をした方へ振り向くと——。
「…幹部同士がこんな所でもめている場合じゃないだろう。集合の五分前に来てみたけれどもなんだこの有様は」
ドアの所に俺達幹部をまとめるリーダー幹部筆頭の—— 『降王 臨音』がいた。
幹部筆頭の『降王 臨音』はこの中でも一番の最年長の人でこの俺さえひれ伏してしまうほど。
幹部をまとめ、時には—— ボスの変わりでもある。
俺はその『降王 臨音』を血の繋がらない兄としてうとおい「臨兄」と呼んでいる。
多分、この呼び名を許されたのは俺だけだろう。
その幹部筆頭の『降王 臨音』—— もとい臨兄は俺を見た後、ニコッと笑った。
「大丈夫だったかい、王我」
「…どうも、ナイスタイミングだよ—— 臨兄」
「凄く危なかったけれどね」と俺は付け足して言った。
臨兄は「じゃあ、もっと早く俺が来れば良かったね」と返してくれた後、臨兄はさっきまで見せた笑顔から一変し鋭い目つきでメンバーの顔を見渡した。
3人とも臨兄に「蛇に睨まれたかえる」の如く、一瞬にして緊張が走った。
俺と嫌いなあいつと巡兄もさっきまでとのやり取りを終わらせ静かにする。
—— 幹部筆頭からの言葉を聞くために。
「…ボスからの命令だ、今回も昨日と同じく—— 荒らすぞ」
——さぁ、始めますか…可憐な血の花を散らす遊戯を——
第4話「Meeting」