複雑・ファジー小説
- Re: ゴッド・コードウルフ。 ( No.23 )
- 日時: 2011/07/15 20:39
- 名前: 龍宮ココロ (ID: 6xS.mLQu)
- 参照: http://yaplog.jp/yukimura1827/
暗く静かな闇が訪れた。
時刻は夜の10時35分、巡兄の情報により、マフィアの連中がよく着ている黒服に俺と臨兄は着替え、港近くの倉庫の影に潜み、巡兄と俺の嫌いなあいつは倉庫のすぐ傍に隠れた。
もうすぐ奴等がやってくる、俺の勘では。
「臨兄、新しく変えた銃…いや、“ブツ”の調子はどう?」
俺は小さな声で臨兄に話しかける。
臨兄は新しく変えた銃を少し見て「さぁ…どうかな?」と苦笑した。
今臨兄が持っている銃、もといマフィア用語的に「ブツ」は、あの武器の手入れの後に俺が新しくチョイスをして改造した物。
軽くて意外に丈夫であり、すぐに弾の替えを入れられるという速効性を追及した俺特製のブツ。
ブツを使う頻度は幹部の中では、臨兄が一番回数が多い為、試作品を実戦で使い出来具合を確認するのと共に依頼の完遂がスムーズに行えるよう調整した物だ。
「大丈夫だよ、臨兄ならどんなブツでも扱えるじゃん」
俺はそう言って笑った。
臨兄は「簡単な事を言うな…」と少し溜め息混じる。
その姿に少し俺は笑った後、足音が聞こえ響いた。
その足音に俺と臨兄はすぐに真剣な顔になる。
息を殺しターゲットがこの倉庫に来るまで。
足音を聞くと結構な大人数を連れて率いている音が少しずつ聞こえてくる。
「…ざっと7、80人位だな」
臨兄はそう呟いて耳に付けてあった無線機で確認を取り合う。
「巡斗、紅真…—— 準備はいいか?」
無線機の先にいる2人は小さく「OK」と呟く声が聞こえる。
臨兄はだんだんと近付いて来た足音を聞いた後即座に表に出て—— ブツを発砲した。
「ぐぁぁぁぁっ !!」
「だ、誰だっ !?行き成り誰かが“チャカ”を撃って来やがった !!」
前を歩いていたヤクザの数名が臨兄のブツの餌食となり赤い雨が降り出され近くにいた奴等はどよめく。
あ、ちなみに「チャカ」はヤクザ用語で俺達の言う「ブツ」と同じく銃を意味する。
そのどよめく奴等の中に臨兄の姿を捉えた奴がいて叫んだ。
「オイ、あいつだっ !!あいつが撃って来やがった !!」
その声を聞いた奴等はオドオドしくもブツを構える。
臨兄は「おやおや、困ったな…」と呟いた。
さっき叫んだ奴が怒りをあらわにして臨兄に大きな声で叫び言う。
「テメェは誰だっ !?何者だっ !?」
その言葉に臨兄は少し溜め息を交えて少し首を傾げた—— 挑発するように。
「…さぁね、誰だと思うかな?」
「こいつっ… !お前等、こいつを—— 血祭りにあげちまえっ !!」
馬鹿にされた事に気付いてそいつは他の奴等に命令し臨兄に向けてブツを発砲させた。
ブツから流れ出る銃弾の雨が臨兄に注ぎもう少しで血雨を降らせれると言う寸前で——。
「—— 本当に懲りないよね、臨兄」
「これこそ面白いだろう、そう思わないかい王我?」
俺は自分の色々な武器で銃弾の雨を全て叩き付けた。
全て叩きつけた後、臨兄を見るととても楽しそうに笑っていて無傷。
この場面を頭に思い浮かべて知ってながらも、臨兄は動かないから本当にこっちの身になって欲しいほどだ。
全部叩きつけられたのに圧倒されて相手は一旦怯んだが、すぐに我に帰る。
「お、オイ !!お前等手を休めるな、ただ一人増えただけだ !!早く殺せっ !!」
銃弾の雨はさっきの量より増して俺自身少しヤバそうだなって思った瞬間——。
「—— あまり無茶はするな、王我」
「はいはい、俺は臨兄を守るからよろしくね—— 巡兄」
バトンタッチのように交わす会話。
倉庫のすぐに隠れていた巡兄はいとも簡単に弾き返す—— 隠していた鞭を巧みに操って。
今の巡兄の速さにヤクザ達は驚きの末に恐怖を感じている。
なんせ、巡兄は今の状態は“もう一人の自分”に成り代わっているのだから。
ペロッと下唇を舐めて巡兄は笑った。
「ハハ、さっさと来いよ。お前等を—— 血の海に変えてやるから」
ゾクッと恐怖が増してヤクザ達はあまりの末に暴れだした。
巡兄はその光景を楽しみながらも狂気と化し笑う。
「楽しいねぇ、愉快だねぇ !!全員、全員…血に染まってしまえ」
そんな言葉を巡兄は吐きながら自身の暗器を何処からとも無く取り出して血に染めていく。
その狂気化した巡兄の隙を見てヤクザの一人がブツを構えた。
「く、くそっ… !こんな奴、倒してやって…やる !」
「—— !」
パァンと銃弾が風の如く走り巡兄に襲い掛かるが——。
「隙を見せんじゃねぇって何回言われれば気が済む、巡斗?」
ナイフを見えない速さで一振りし、弾丸を真っ二つにとあいつはやる。
そこん所だけはいいんだよなと俺は一瞬思ったが。
そんな俺達を凝視し「な、なんなんだ… !!こいつ等…っ !!」とヤクザ達は怯えあがった。
その時点で俺達の勝利は—— 確実だった。
——さぁ、もっと…お前達の汚い血で染めてやる——
第6話「Start」