複雑・ファジー小説

Re: ゴッド・コードウルフ。 ( No.3 )
日時: 2011/06/26 14:27
名前: 龍宮ココロ (ID: 6xS.mLQu)
参照: http://yaplog.jp/yukimura1827/

「ねぇ知ってる? またヤクザの人が誰かに殺されたって警察が動揺しているらしいよ?」
「知ってる、知ってる !新聞にもニュースでもやっていたね」
ワイワイガヤガヤと朝から俺の教室はその話題で持ちきりだ。
女子なんか特に「怖いよね」とか「ヤバくない? 最近の世の中」と呟いたりしている。
俺がボーっとして自分の席に座っていた時、ふと声が掛かる。

「おはよ、王我。我ながらいつも通りボーっとしているな」
「おー…おはよ」

俺は新鮮味の無い声で返した。
声の掛けてきた奴は一応俺の男友達。
とは言っても俺、基本的友達作らない派だからこいつの名前すらまともに覚えていない。
それでもそいつは俺に話しかけてくる—— 本当の友達として。
「それにしても…ヤクザとか本当に世の中変だよなぁ?」
「警察なんか特に大変そうだ」とそいつは呟いた。
俺は相打ちに「ん、まぁ…そうだな」と言っておく。
と言うか、そんな事件俺元々知っているし。
誰がそのヤクザ達を—— 殺したのかも。
それを知らない一般市民のそいつは、苦笑して俺に言う。
「本当、ヤクザとかいらない世の中になんないのか…俺マジ日本って心配なんだけど」
「あぁ…俺も」
その言葉を不自然と思わないでそいつは「そうだろ?」って言う。
あぁ、マジウザイなこいつ。
普通の生活ってこんなにもめんどくさいのか。
そう思いながら普通の一般市民を装う—— 俺、『魔斬 王我』はそこにいた。
俺、『魔斬 王我』は普通なら高校3年生で普通に通っているごくごく一般市民。
だけども、その俺の裏の顔は—— 日本の裏を操るマフィアの一員。
ここ1年位前になってから俺の入っているマフィアの若き幹部として選ばれた。
俺がそのマフィアに入ったのは16歳くらいだから…結構早くの幹部昇進。
今更言うが「マフィア」と言うのは昔は『犯罪組織』とか呼ばれているけれど、どちらかと言うと俺の言う「マフィア」は『秘密結社』だ。
俺はそのマフィアの幹部とかあまりやりたくなかったけれど、そのマフィアのボスが決めた事で拒否権なんて許されない。
「沈黙の掟(オメルタ)」と言う掟が出来ているからだ。
その「沈黙の掟(オメルタ)」のシステムを簡単に言うと、『上の者に敬意を表せよ』と言う感じの奴。
そんな掟、クソ食らえと思うと痛い目にあう。
なんせ拒否した場合やそのマフィアを裏切った場合翌日には—— 殺されてしまうからだ。
いわゆるマフィアの『制裁』。
見せしめの為に始まったとか言うが…マジ人間って怖いな。
そんで、その「沈黙の掟(オメルタ)」に逆らえない為マフィアの幹部とかは暗殺など依頼を貰う。
今日話題になっている『ヤクザの殺人事件』はそう—— 俺や他3人の幹部がヤクザを殺したのだ。
まぁ、依頼なんだが…無心も怖いな。
昨日は半場無心で作業していた為、今思うと自分自身ゾッとした。
まぁ、暗殺好きだからしょうがないけれども。
そう思いながらさっきから話しかけてくるこいつに「しつこいなー…」と思いながら口を開く。

「悪い、少し眠いから席戻ってくれるか?」

「あ…あぁ、ゴメンな」と言って颯爽とあいつは席に帰る。
「逆鱗に触ってしまった」とか思っているだろうなと思いながら俺は少し眠りについた。
眠りにつくのは別に眠いんじゃない。

  ——戦闘のために使う体力を、温存したいからさ——


             第1話「Talk」