複雑・ファジー小説
- Re: ゴッド・コードウルフ。 ( No.44 )
- 日時: 2011/08/05 15:38
- 名前: 龍宮ココロ (ID: esqt3hj.)
- 参照: http://yaplog.jp/yukimura1827/
この階の奥の通路に『Keep off. An employee only.(一般の方は立ち入り禁止。従業員のみ)』と書かれた看板があった。
その看板があるのにもかかわらず、臨兄は進むのにちょっとギョッとした。
「り、臨兄っ !ここに“一般の方は駄目”って… !」
「ん?…あぁ、大丈夫だよ。ちゃんと許可は取ってあるし」
「許可…?あ、まさか… !」
臨兄の言葉に俺は思い当たる節があった。
そう言えばフロントで以外にも手間がかかっていた、もしかしたら—— ここの通る許可を取る為に?
でも、そう言うと…俺の嫌いなあいつと巡兄は何処から入ったんだ?
そう考えている俺に臨兄は「あ、そうそう」と何か言い始めた。
「俺達は正面から入ったけども、紅真と巡斗は事前からここの地図を持って警備員の姿に成りすましていたからここを通って奥の部屋で待っている。…っていうのを今教えておくよ」
「はぁ… !?え、ちょ、ま…それを先に教えてよ !!」
「ごめんごめん…最近忘れっぽくってね」と苦笑して付け足す。
俺は聞いた瞬間に心に心底「警備員の姿に成りすましたかった !」と思った。
そうすれば、俺こんな目に会わなかったのに… !!
…でも、意外に似合いそうだよなあの二人の姿は。
俺は多分もうちょっと身長があれば、警備員出来るかも…。
「さぁ、着いたよ王我」
臨兄の声を聞いて少し間を開け頷く。
ドアの上のプレートには『応接間』と書かれてある、相当広いんだろうな…。
臨兄はドアノブを時計回りに優しく回し、押していくと——。
「—— 遅かったな、フロントの奴に珍しく手間がかかったか?」
「こ、こんにちは…待ってました、よ臨音さん…」
ソファに座っている二人がいた。
臨兄は「あぁ、珍しくね。まったく…俺も舐められたもんだよ。そして巡斗、こんにちは…だね」と笑って言っていた。
臨兄の後に俺が入って来ると巡兄は「あ、王我さんも…こんにちは…」と声を掛けてくれた。
その声にニコッと俺は笑うだけで返す。
臨兄が「こっちに座っていいよ、王我」と言って、ポンポンと隣の場所を軽く叩く。
俺はただ頷いて、ちょっと勢い良くボスッと音を出して座った。
その座り方が俺の嫌いなあいつは気に入らないらしく小さな声で「静かに座りやがれ…この馬鹿野郎…」と言ってきたのは気にしない方向で。
だってここは幹部緊急集会だし?
まぁ、キレたらキレたで今日は俺の暗殺武器とか持っているから対処できるし?
そう思いながらちょっと俺の嫌いなあいつにベェッと舌を出して挑発してやった。
勿論、俺のやっている事に一瞬にして理解して俺の嫌いなあいつはムカッと来たのか凄い鬼の形相で睨んでくる。
そんな表情したって、俺がビビるわけないっしょ。
…子供には絶対トラウマだけども。
パンパンッと、急に隣から聞こえて俺はビクつく。
見ると臨兄が、手を叩いて「こっちに集中して」というような顔でいた。
その臨兄の顔を見た瞬間、俺は一層に緊張を高めたのが分った。
「…じゃあ、始めようか。俺達4人の『ゴッド・コードウルフ』幹部緊急集会を」
ピシャリと臨兄の静かな声が応接間を包み込む。
「今回集まったのは言うまでもない、昨日の夜…「ソルジャー(構成員)」と「アソシエーテ(準構成員)」の集団約280人が—— 何者かに殺されたのについてだ」
臨兄の言葉を聞いて3人とも頷く。
そして、頷いた後に俺の嫌いなあいつが口を開いた。
「その事についてだが…俺の知り合いのマフィア共には何も接点もなし。つまり、今俺達が畳み掛けているヤクザ共で間違いの無い様だ。そして、悪いニュースだが…畳み掛けているヤクザ共の資料がどうやら一日に何ページという速さで消滅(奪われた)もしくは、相手がその情報が取られたのを気付いて奪い返し。…俺達の情報が漏れる危険性があり、そのため巡斗の使っていたパソコンのデータフォルダを違うパソコンに移し変えたが—— 一部、俺達の情報が消滅(奪われた)したため…嵌められたと推理」
「—— !!」
その言葉に俺は一瞬にして絶句した。
巡兄は凄腕の情報屋でちゃんとフォルダに保存するほどの几帳面さがある。
勿論俺達の情報も保存してあるため一部消滅(奪われた)と言う事は—— 相手も相当なる腕の持ち主。
「…申し訳ありません、臨音さん。僕も死守したのですが…相手の方が一枚上手なようです…」
「…いや、いい。巡斗は良く頑張った方だよ」
謝る巡兄に臨兄は優しく宥めた後、俺の嫌いなあいつに臨兄は目を向けた。
「紅真、後の情報は来ているかい?」
「あぁ、来ている。この出来事の後に回収版を出した後—— 手紙が置いてあった」
スッと、机の上に白い封筒を置く。
何も変哲もないただの白い封筒だ。
その封筒を臨兄は受け取った後、ビリッと上の止めている部分を破く。
「…どうやら中身は一枚の紙だけのようだね」
綺麗に折り畳まれてあった紙をペラッと開いた後、臨兄の表情が硬くなった。
その臨兄の表情により俺達3人にも伝わった。
何かあったしか他ならない、臨兄がこうも表情を固くするのは。
臨兄は読み終えたのかスッと机に置いた。
「…なるほど、どうやら—— あちらも本気のようだよ」
「—— !」
臨兄がそう言うのはいつも何かがあるというのは俺達3人も知っている。
と言う事は…何か見たんだな、臨兄。
ゴクリとつばを飲み、臨兄の言葉の続きを待っていると—— 何か冷たいような物が刺さるような声が響いた。
「—— “『ゴッド・コードウルフ』幹部に宣戦布告する。今から2週間後各自4つの場所を設置しておく、その場所へと1人ずつ分かれて相対しよう。その場所によっては戦闘のルールがある、持参の武器を使っても良い。…ただし、こちらのやり方で対戦する事を提案するとし部下の乱入は禁止といたす。そして、他幹部と接触する事も禁止といたす”」
その言葉の一文字一文字が、俺の心と脳に深々刻んだ。
俺達『ゴッド・コードウルフ』の幹部は互いにコンビネーションで殺った時はいくつもある、勿論個々もあったけれども…。
——個々の戦闘はあまりに少なく、協力出来ない事に俺は一瞬“不利”と感じた——
第15話「Disadvantage explanation」