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複雑・ファジー小説
- 第二十三話『異変を察する者。それは、副会長だった。』 ( No.96 )
- 日時: 2012/03/13 17:07
- 名前: 水瀬 うらら (ID: G0MTleJU)
窓の外は七月だというのに雨が降っている。霧雨、と言うのが正しいだろうか。
昨日のカレーはあの後大盛況だった。蓮の奴、おかわりまでしやがって。くっ我が家の経済が狂う。でも本当は、そんな影響を及ぼす一家団欒が楽しかったりする。
また次回やれないかな……。
俺の考えごとの中に、水野さんのあのリアクションに対する疑問は欠落していた。しばし自分の世界に浸る。
「あの燈兎さんが欠席するだなんて……」
「その悲しそうな顔は止めろ。お前は霧島さんのファンか」
「燈兎さんファンクラブの副会長です!」
「そんなのあったのか!」
というか、会長は誰なんだ。問い詰めたくなったが、これ以上話を逸らすわけにもいかず、止む無く追及は止めにする。
「まぁ……でも遅刻ならともかく、欠席って珍しいよな」
結局、そんなこんなで放課後になってしまった。普段の霧島さんなら、遅刻をしてでも欠席は阻止するとはずだけど。そう天井を見上げた。
「……あたし、ちょっと先、帰る」
「え?水野さ」
「じゃあね」
水野さんは鞄を肩に引っ提げ、教室を後にした。蓮は眉根を寄せる。
「……オレも心配だから、ちょっくら……」
「俺はどうすれば?」
「帰ってな」
蓮までも退場してしまった。一瞬、蓮の姿が水野さんのストーカーに視えた俺は立ち上がった。
「待て! 俺も行く!」
「やだね」
蓮の声には少し笑いが混じっていた。
昇降口へと駆けていく。以前、あの双子の兄妹がしていたように。
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